第92回キネマ旬報ベストテン 1位は『万引き家族』&『スリー・ビルボード』

第92回キネマ旬報ベストテン 1位は『万引き家族』&『スリー・ビルボード』

おはようございます、チェ・ブンブンです。

今年もキネマ旬報ベストテンの季節がやってきました。ただ、今年はいつもとは違います。例年1月7日前後に公開されるベストテンが2月に後ろ倒しとなり、また、ベストテンは各部門1位作品のみ発表し、詳細は本日発売のキネマ旬報を確認するか、2/10以降にWebサイトを確認する方式に変わりました。

なので、今日は、既に分かっている結果のみお知らせします。

日本映画ベスト1位:『万引き家族』

監督:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林etc

映画芸術がワースト1に選んでいたことから、容易に本作がベスト1位であることは想像できよう。本作は、カンヌ国際映画祭で日本映画として5度目のパルムドールを受賞した作品。個人的に、ここ数年の是枝映画の中でも、あざとさこそあれど、やっぱりリリー・フランキーに泣いたし、安藤サクラの悲しみを押し殺した苦い表情にはノックアウトされました。やっぱり、キネマ旬報は王道でなくちゃね!

ちなみに小話をしておこう。パルムドールを受賞した日本映画はほとんど、キネマ旬報ベストテンに入選するのですが、唯一衣笠貞之助監督の『地獄門』だけ落選しました。本作は、第27回アカデミー賞で名誉賞と衣裳デザイン賞の二冠を受賞する好成績を収めながらも日本では過小評価された作品です。

ちなみに他のパルムドールを受賞した日本映画のキネマ旬報順位を掲載しておきます。

・1980年『影武者』:2位
・1983年『楢山節考』:5位
・1997年『うなぎ』:1位

『万引き家族』のブンブン関連記事

【ネタバレ解説】『万引き家族』勝てる映画が勝利したことへの危機感

外国映画ベスト1位:『スリー・ビルボード』

監督:マーティン・マクドナー
出演:フランシス・マクドーマンド、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソンetc

驚いてください!『ヒットマンズ・レクイエム』、『セブン・サイコパス』と変なB級映画を撮っていたマーティン・マクドナー監督作品がスピルバーグ、イーストウッドを倒して1位に輝きました。本作は、人間の二面性を、巧みな音楽と役者の演出で見事に描き切った作品です。ブンブンは、年末には忘却の彼方に飛ばされてしまったのですが、オカエモン騒動もあってか、見事1位の座を勝ち取ることができました。アカデミー賞では土壇場で冷遇されてた作品だけに個人的には嬉しいです。果たして、本日発売のキネマ旬報でイーストウッドは息をしているのでしょうか(『15時17分、パリ行き』は素晴らしい作品だとブンブンは思っているので、こちらも応援です)?

『スリー・ビルボード』のブンブン関連記事

【ネタバレ解説】『スリー・ビルボード』アカデミー賞作品賞当確?VOD時代を象徴する傑作

文化映画ベスト1位:『沖縄スパイ戦史』

監督:三上智恵、大矢英代

毎年、多くの映画ファンにとって?が無数に浮かぶ、映画芸術ベストテンよりも鑑賞困難作が集結した文化映画。なんたって、平気でFilmarksレビュー件数0件の作品が入ったりするのだから。実質ポレポレ東中野映画ベストテンと言っても過言ではない映画賞ですが、今年は『沖縄スパイ戦史』が1位を獲りました。本作はあのアジア・太平洋戦争中存在したスパイ養成学校『陸軍中野学校』の裏側に迫ったドキュメンタリー。ブンブンも年間150本以上は映画館で観ているのだが、こういった作品はどうしても見逃してしまう。改めて、映画の世界は広いなと感じます。今年は、東日本大震災で文化消滅の危機に瀕した町の人々がハワイに渡り文化継承する大傑作『盆唄』がある。この作品には是非とも1位を獲ってほしいものである。

主演女優賞:安藤サクラ(『万引き家族』)

今年は安藤サクラと柄本佑が夫婦で主演をかっさらうサプライズ受賞でした。どちらも納得の演技です。安藤サクラの、どん底でやりきれない思いをほんのりと匂わせつつも疑似家族を前に明るく振る舞おうとする姿は本当に圧巻でした。カンヌ国際映画祭、確かに『アイカ』のSamal Yeslyamovaの常にHP1の状態でモスクワを這いつくばる演技は凄かったが、パワープレイではなく、しっかり技で魅せた彼女に女優賞を与えて欲しかったなぁ

主演男優賞:柄本佑(『きみの鳥はうたえる』、『素敵なダイナマイトスキャンダル』、『ポルトの恋人たち 時の記憶』)

きみの鳥はうたえる』、『素敵なダイナマイトスキャンダル』、『ポルトの恋人たち 時の記憶』に出演した安藤サクラの夫も主演男優賞を獲りました。柄本佑はアナザースカイでマノエル・ド・オリヴェイラ監督について語りまくり、MCをドン引きさせるほどのシネフィル。彼は単なる高飛車なシネフィルではなく、しっかりと自分の演技に知識を投影させ、『きみの鳥はうたえる』は三宅唱の魔法と共に素敵な空間を作り上げました。おめでとう!

助演女優賞:木野花(『愛しのアイリーン』)

『愛しのアイリーン』で最強BBAを演じた木野花が見事受賞!猟銃を持って暴れまわるパワフルばあちゃん演技は一度観たら忘れることができないし、本作を盛り上げる最強の起爆剤になったことは確か。おめでとうございます。

助演男優賞:松坂桃李(『孤狼の血』)

去年の松坂桃李はやばかった!何故か女性限定応援上映が組まれるほど女性を熱狂させた『娼年』、そして日本版『トレーニング・デイ』として、役所広司演じるヤクザな刑事の下で捜査をする刑事を好演した『孤狼の血』で暴れ回ってました。今年は、人気時代劇作家佐伯泰英作品初の映画化『居眠り磐音』と本屋大賞を受賞した恩田陸の小説の映画化『蜜蜂と遠雷』が控えています。今後も期待だ。

新人女優賞:木竜麻生(『菊とギロチン』、『鈴木家の嘘』)

菊とギロチン』で女相撲の世界に家族の温もりを覚え、力強く時代を生きた花菊ともよを演じた木竜麻生が受賞。個人的に『犬猿』のニッチェ・江上敬子の受賞を期待していたのですが、やはりあの体当たり演技は評価せざる得ないか…

新人男優賞:寛一郎(『菊とギロチン』)

『菊とギロチン』でギロチン社の一人として暗躍した古田大次郎を演じた寛一郎が受賞しました。彼は『チワワちゃん』で個性的なキャラクター・カツオを演じていた今旬の男優さんです。今年は他に『雪子さんの足音』、『君がまた走り出すとき』の出演が決まっています。

監督賞:瀬々敬久(『菊とギロチン』、『友罪』)

ここまで『菊とギロチン』が賞を席巻しているとなると、今日発表のベストテン日本映画2位は多分『菊とギロチン』なんだろう。『友罪』と併せてブンブンはワーストテンに選出しているだけに複雑な気持ちです。

脚本賞:相澤虎之助/瀬々敬久(『菊とギロチン』)

これも『菊とギロチン』が受賞。ここは『愛しのアイリーン』、『犬猿』の脚本を手がけた吉田恵輔が妥当だと思ったのだが、キネマ旬報は『菊とギロチン』がお気に入りらしい。

外国語映画監督賞:マーティン・マクドナー(『スリー・ビルボード』)

そうだよね、スピルバーグやイーストウッドはいつでも獲れるもんね。今回は、アカデミー賞で冷遇されたマーティン・マクドナー監督を祝福しようじゃないか!

読者選出日本映画監督賞:是枝裕和(『万引き家族』)

まあ順当ってところかな。

読者選出外国映画監督賞:マーティン・マクドナー(『スリー・ビルボード』)

むしろこっちの方が意外。てっきり、スピルバーグだと思いました。

読者賞:立川志らく(『立川志らくのシネマ徒然草』)

特別賞:樹木希林

R.I.P.樹木希林、意外と『男はつらいよ』から『トラック野郎』まで出演していたりします。

最後に

いかがでしたでしょうか?詳しいベストテンについては、今週のどこかで発表できたらと思います。来年はどんなベストテンになるのか楽しみですね。

関連記事

キネマ旬報ベストテン2016年度 外国映画1位は「ハドソン川の奇跡」
キネマ旬報ベストテン2016年度発表!日本映画第一位は「この世界の片隅に」
“Ç”第89回キネマ旬報ベストテン外国映画部門!1位はなななんと「マッド・マックス/怒りのデス・ロード」
“Ç”第89回キネマ旬報ベストテン発表!日本映画編 1位は案の上「恋人たち」

2017年は書いていないことに気づいたので、軽く下記に示しておきます。

2017年キネマ旬報ベストテン外国映画

1位:わたしは、ダニエル・ブレイク
2位:パターソン
3位:マンチェスター・バイ・ザ・シー
4位:ダンケルク
5位:立ち去った女
6位:沈黙-サイレンス-
7位:希望のかなた
8位:ドリーム
9位:ムーンライト
10位:ラ・ラ・ランド

2017年キネマ旬報ベストテン日本映画

1位:映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
2位:花筐/HANAGATAMI
3位:あゝ、荒野
4位:幼な子われらに生まれ
5位:散歩する侵略者
6位:バンコクナイツ
7位:彼女の人生は間違いじゃない
8位:三度目の殺人
9位:彼女がその名を知らない鳥たち
10位:彼らが本気で編むときは、

2017年キネマ旬報ベストテン文化映画

1位:人生フルーツ
2位:標的の島 風(かじ)かたか
3位:やさしくなあに ~奈緒ちゃんと家族の35年~
4位:ウォーナーの謎のリスト
5位:谺雄二 ハンセン病とともに生きる 熊笹の尾根の生涯
6位:沈黙 立ち上がる慰安婦
7位:米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー
8位:笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ
9位:まなぶ 通信制中学60年の空白を越えて
10位:廻り神楽

ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう!
ブロトピ:映画ブログ更新

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です