【炎上】抗争勃発『カメラを止めるな!』盗作疑惑問題について考えてみた

両者のもどかしさが分かるだけに円満解決してほしい

この手の問題はよくある。大きな例で言えば、マクドナルドがそうだ。前者は、レイ・クロックというビジネスマンがマクドナルド兄弟の合理化を極めたビジネスモデルに目をつけ、共同経営者となっていく過程で、いつの間にかマクドナルド兄弟を経営の外に追い出してしまった(詳しくは『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

』を観てね)。


本作は、製作当初ここまでヒットするとは誰も予想していなかった。しかし、昨年の秋頃から「面白い」とインディーズ邦画クラスタの間で話題になっていた。和田亮一も当然ながら、当初はこのヒットを予想していなかった。そして、一度頓挫した企画を上田監督が映画化したことに対して喜んでいた。現に和田亮一は、公開当時の2018/7/8にTwitterで賞賛し、宣伝活動に手を貸している。

しかし、映画は東京都内2館から150館を超える拡大ヒット。47都道府県全国で上映され、週間興行収入ランキングでは『未来のミライ』を倒した。そうなってくると、段々モヤモヤが生まれてくる。確かに上田監督はインタビューで『GHOST IN THE BOX!』について言及しているのだが、クレジットには一切そのことについて触れられていない。本当は自分が仲間と血と涙の結晶として作り上げたものなのに、誰も気づいてくれない。だから監督とプロデューサーと話し合って、拡大上映版にはクレジットが載った。しかし、扱いは《原案》。しかも、屈辱的な契約まで交わされてしまう。

もし、自分が和田亮一の立場だったら非常に嫌だ。自分の宝が、自分のもとを離れてしまった侘しさがある。

またデジタル大辞林によると

原案はもとになる案。特に、会議などに提出された、最初の案。

原作は翻訳・脚色・改作などをする前の、もとになった作品。

という違いがある。

原作の方が、「元は俺たちのアイデアだぞ!」という意味合いが強いイメージがある為、原作に拘りたくなる。さらに、LITERAの記事《テレビ局も抱える著作権トラブル、”原作”と”原案”の違いは?

》等を踏まえると、原案には軽いイメージがある。トラブルが起きた場合、仕方なしに表記する際の表現という意味合いが強い。また、原案でも経済的対価が発生する場合がある(See-Saw日記:『原作と原案』・・・“原案”には著作権がないって本当?参照

)ことから、あたかも「クレジットに載せたからもう口出すな」と言わんばかりの契約には不満が残る。

ただ、この手の騒動にしては、『カメラを止めるな!』サイドは非常に合理的で尊重ある態度を取っている。上田監督は、決して本作を自分だけが作り上げた王国であると思っていない。みんなで作り上げた宝だと思っているのだ。その謙虚さ故に、インタビューでは劇団PEACEという名前も『GHOST IN THE BOX!』というタイトルも言及している。三谷幸喜よりも先に本作に対するリスペクトを捧げているのだ。無論、映画というのは権利とかそういうものが関わってくる。パンフレットには権利の関係で、具体的な名称を載せられなかったのだろう。それでも、しっかりと引用していることをアピールしているのだ。そして和田亮一からクレジットに原作:劇団PEACE『GHOST IN THE BOX!』(作:A 演出:和田亮一)と載せてほしいという依頼があった時も、理論的に対策を考えた。

本作は『GHOST IN THE BOX!』の構造を引用しているだけで、中身は別物となっている。映画とは、そもそも引用/オマージュの塊。いかに素材を組み合わせて自分色に染めていくのかというものであって、そんなこと言ったら、三谷幸喜の『ラヂオの時間』とかも入れなくてはいけない。でもそれでは権利処理が煩雑になる。学術論文のようになんでもかんでも引用元を載せればいいって簡単なもんじゃない。故に原作というよりも、原案なのでは?和田亮一もAも映画製作には関わっていないことだし、彼らの目的は名誉だ。しっかりと、観客に彼らと作品の存在を示しておこうという形でクレジットには原案:劇団PEACE『GHOST IN THE BOX!』(作:A 演出:和田亮一)と載せた。

下手にしらばっくれたりせず、真摯にと相手と向き合っている点、実に紳士だったと思う。

それだけにこの問題は、難しい。アメリカでは映画でもよく観る通り契約書社会で、どんな些細なことにも契約を交わす。こう言ったトラブルを回避する為でもある。ただ、このシチュエーション、あなたが和田亮一や上田慎一郎及びプロデューサーの立場だったらしっかり契約書を交わせただろうか。互いに、元々地を這いつくばるようにしてエンターテイメントの道を歩んできた。当初は、サークル仲間のような関係だった。もし貴方が大学時代、成功するかどうかもわからないプロジェクトを友人と一緒に立ち上げ頓挫した際に、しっかりと書面を交わせるだろうか?きっとほとんどができないだろう。

だからこそ、過去を見るよりも起きてしまっt悲劇に対して、どうやって解決していくのかという《未来》を見た方が良い。折角、数十年に一度のインディーズ日本映画の大勝利。このままズブズブ消耗戦に入ると、世間から単なる《話題》として消費され、伝説は掻き消されてしまうだろう。そうなってしまっては、お互いにとって、また映画界にとって悲劇だ。週刊誌やネットニュースでは《盗作》というようにキツイ表現をしているが、和田亮一のnoteでの文章を読むと一言も《盗作》という単語も《パクリ》という単語も出てこない。つまり、和田亮一自身もこの映画の成功をぶち壊しにしたくないと考えていることが伺える。それだけに、このまま消耗戦に突入してしまうっては、折角の成功を、地獄へ道づれよとばかりにゴミ箱へ捨ててしまうようなものだ。一番の悲劇は、役者だ。しゅはまはるみ、濱津隆之、秋山ゆずきといった役者が、折角ENBUゼミナールに大金を払って入り、映画に出させてもらった。連日、自腹で舞台挨拶等に行き、Twitterで宣伝活動も全力で行いようやく掴みかけた役者としての出世。これが、この消耗戦で水の泡になってしまう。誰も報われない悲劇となってしまうのだ。

折角、300万円で、いやスタッフのほとんど自腹で作り上げた宝の山。配給のアスミック・エースやプロデューサー、一部の人が利益を独占するのではなく、しっかり名誉と富を分配してほしい。そして円満にこの事件を収集させ、各人が新たな人生を歩んでほしいとブンブンは感じました。

契約的に、原案だと、和田亮一に名誉を与えて、利益等の権利を放棄させ安いのかもしれない。ただ、個人的にはこれだけ大ヒットしているのだから、一部利益も配分し円満解決してほしい気がした。ブンブンは、『カメラを止めるな!』ファンとして、また互いの気持ちが分かる者として祈るばかりです。

参考記事一覧

当記事には様々なところの意見を参照しながら書きました。なので参考記事を一覧にまとめました。
『カメラを止めるな!』はパクリだ!原作者が怒りの告発:YAHOO!ニュース転載記事(週刊FLASH 2018年9月4日号)

映画『カメラを止めるな!』ネタバレ感想&評価も……おそらく日本で唯一の否定的意見です:物語る亀さんの酷評記事

映画「カメラを止めるな!」について:和田亮一(ペンネーム:rookey)のnoteにアップした記事

【ネタバレ注意】「カメラを止めるな!」。原案となった舞台も観ている私の感想。:内藤みかがnoteにアップした記事

爆ヒット中の映画『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督インタビュー「映画が観た人の現実を前向きに動かしている。これほど嬉しいことはありません」:ガジェット通信記事(執筆者:藤本エリ)

「カメラを止めるな!」に関するご連絡:公式サイトの声明文

テレビ局も抱える著作権トラブル、”原作”と”原案”の違いは?:LITERA(文=編集部)

『原作と原案』・・・“原案”には著作権がないって本当?:See-Saw日記 シナリオライターの日々雑感

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