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【ネタバレ】『グッバイ・クリストファー・ロビン』くまのプーさんには黒歴史が…あった…

【ネタバレ】『グッバイ・クリストファー・ロビン』くまのプーさんには黒歴史が…あった…

グッバイ・クリストファー・ロビン(2017)
Goodbye Christopher Robin(2017)


監督:サイモン・カーティス
出演:ドーナル・グリーソン、
マーゴット・ロビー、ケリー・マクドナルドetc

評価:40点

9/14(金)より実写版プーさんこと『プーと大人になった僕』が公開されるが、実は最近もう一つプーさん映画が製作された。それが、『グッバイ・クリストファー・ロビン』だ。日本ではビデオスルーで、町山智浩解説上映でしかスクリーンで観ることができない。今回、ブルーレイを取り寄せて観てみた。

『グッバイ・クリストファー・ロビン』あらすじ

A・A・ミルンは第一次世界大戦に従軍したことによってPTSDを患ってしまう。兵役後、作家として活動するものの、戦争の記憶が彼を傷つけ、全く物が書けなくなってしまう。そんな彼を見かねた妻は、田舎に転居することを決める。しかし、引越しをしてもなかなか病は治らなかった。そんな彼を癒したのは、息子のクリストファー・ロビン。ロビンとのふれあいの中で少しずつ心の傷が癒されていき、そして息子と一緒に作り上げた話を『くまのプーさん』として書くことで見事作家として復活を遂げる。しかし、、、

時間配分が致命的にミスっている!!

『くまのプーさん』は、大人になってから触れると凄い深い物語であることは有名だ。イマジナリーフレンドからの卒業という主題が、忘れてしまって大切な記憶を呼び覚ましてくれるのだ。しかし、本作誕生の背景には凄惨なドラマがあった。

A・A・ミルンは第一次世界大戦で従軍したが為にPTSDになり、小説が書けなくなってしまう。少しでも大きい音が鳴るとパニックを起こしてしまうのだ。神経質になり、田舎で暮らすものの仕事も家事も育児もできなくなってしまう。そんな彼を癒してくれたのが、息子のクリストファー・ロビンだった。息子との交流でインスピレーションを掻き立てられたミルンは徐々にPTSDが治っていき、筆が動き出す。そして、『くまのプーさん』が生れた!

こう聞くとハートウォーミングな話に見える。実際に本作は80分くらいかけて、このストーリーラインで進むので、てっきりハッピーエンドかに思えた。しかし、これは罠だった。『くまのプーさん』はミルンとクリストファー・ロビンを奈落に突き落とすトリガーだったのだ。残りの20分で、あまりにキツすぎる結末が展開されていく、、、。あまりにクリストファー・ロビンに取材が殺到し、まるで見世物のように扱われてしまっているのを受け、寄宿舎に入れることになるのだが、彼は卒業時までずっと虐められ、心を閉ざしてしまうのだ。そして、A・A・ミルンと築き上げた世界に対して拒絶するようになってしまうのだ。

正直、本作は時間配分を致命的に間違えた作品だ。本作の売りは、『くまのプーさん』誕生の裏に隠された悲劇だ。しかし、サクセスストーリーに時間を掛けすぎて、あまりに駆け足だ。クリストファー・ロビンの悲惨な境遇、一番描くべき寄宿舎時代が数分で終わってしまう非常に勿体ないつくりとなっていた。それにより、凄惨だった筈のクリストファー・ロビンの人生があまりにも軽率に扱われている感じが否めずがっかりでした。ヤクザウサギにフルボッコされたドーナル・グリーソンの、スランプに陥った作家のアンニュイなオーラ演出は上手いし、世界観の作り込みも良い。サクセスストーリーパートも心に刺さる。しかし、詰めが甘い。なんなら、あと30分追加で、しっかりクリストファー・ロビンパートを描くべきだった。

物語が手から離れてしまうこと

ただ、本作は個人的に心に刺さるものがあった。というのも自分たちの物語が、有名になっていくに従って遠い存在になっていくことに対する切なさというものが、丁度現在ヒット中の映画『カメラを止めるな!』に近いものを感じたからだ。A・A・ミルンは心の傷を癒すために、クリストファー・ロビンと交流する。そして二人で『くまのプーさん』という物語を作り上げる。しかし、ベストセラーなり、全世界で愛読され、ぬいぐるみまで大量生産されるようになる。そうすると段々、《自分たちの物語》から《みんなの物語》になっていく。そうなってくると、人々が好き放題『くまのプーさん』を解釈し始める。自分が意図しないことまで、好き放題言われるようになってしまい、いつしか遠い存在になってしまうのだ。

『カメラを止めるな!』は公開当時、知る人ぞ知る傑作だった。それが、王様のブランチやZIP!等の情報番組で紹介され、段々と公開劇場数が増えていき、ライムスター宇多丸や水道橋博士、松本人志と監督が共演し、普段映画を観ないような人まで観るようになっていくことで、遠い存在になっていった。その切なさと、本作の切なさが見事にリンクしていた。

故に、ダメダメな映画ではあるのだが嫌いになれない作品だった。

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