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2017年度チェ・ブンブンの極私的アカデミー賞&総括 ハイローまさかの5冠!

2017年度チェ・ブンブンの極私的アカデミー賞&総括 ハイローまさかの5冠!

2017年度チェ・ブンブンの極私的アカデミー賞

1週間近くに渡って語ってきた、部門別ベストテン2017ですが、最後に個人賞を発表していこうと思います。部門はアカデミー賞っぽく発表していきます。

※青線をクリックするとレビューに飛びます

もくじ

作品賞:『バンコクナイツ』

監督賞:久保茂昭和

HiGH AND LOW THE MOVIE2 END OF SKY』で日本映画の限界に挑んだアクションを、『HiGH&LOW THE MOVIE 3 FINAL MISSION』では拳で解決することを一旦捨て、バカ達がそれなりに知恵を合わせ強大なヤクザと戦う物語的成長をやってのけた久保茂昭和は凄い。なんたって、EXILEグループのあのチャラくてフワフワした会議をまとめ上げて、また林遣都や斎藤工などといった個性派役者もいる中でよくぞ「映画」という形を創り上げた。これは評価してあげないとだめだ!

主演女優賞:エル・ファニング

ネオン・デーモン』『20センチュリー・ウーマン』『パーティで女の子に話しかけるには』でもはや、人間を辞めてしまった究極の女優。高校時代に『SOMEWHERE』を観たときから好きな女優さんだったが、もう今年この3本でノックアウトされた。

主演男優賞:菅田将暉

菅田将暉、常に犬演技、吠えて吠えて吠えまくるワンパターン演技。しかし、今年『帝一の國』『あゝ荒野』『火花』の彼の頑張りようを観たら、主演男優賞は彼以外に考えられなくなりました。

助演女優賞:ベティ・ガブリエル

ミス顔芸。『ゲット・アウト』で笑っているのかキレているのか、悲しんでいるのか分からない狂った顔芸で迫ってくる彼女の演技は爆笑と同時に背筋をツーとナイフで裂かれる痛みを感じた。『ゲット・アウト』は個性的なキャラクターが登場するが、群を抜いてMVPはベティ・ガブリエルだった。

助演男優賞:小林直己

ハイローに出てきた敵役。『ターミネーター2』のT-1000張りの「コイツには勝てない」感がビンビンでていて素晴らしかった。もっとアクション映画で観たい役者だ。

脚本賞:セオドア・メルフィ『ジーサンズ はじめての強盗』『ドリーム

王道ケイパーものを軽んじることなく、3人のアカデミー賞俳優を動かし切った模範的脚本作『ジーサンズ はじめての強盗』。『スパイダーマン:ホームカミング』の監督を蹴って、『ドリーム』の監督&脚本を務めた彼は尊敬に値する。特に『ドリーム』では5分に一度名言が出る、そして『ジーサンズ』譲りの複数のキャラクターを過不足なく描ききる技量に興奮した。

脚色賞:大友啓史、岩下悠子
、渡部亮平(『3月のライオン 前後編』)

映像化無理ゲーなあの漫画をなんと大友啓史が見事に5時間でまとめきって見せた。エピソードの取捨選択の妙。盤面までじっくり物語を忍ばせることで、将棋を知っている者も納得がいく内容へと昇華させる繊細さ。これぞ脚色だ!と言いたくなる作品であった。

撮影賞:『HiGH AND LOW THE MOVIE2 END OF SKY』

アクションシーンの撮り方はハリウッド映画顔負け。とにかく、劇中何十人も登場するキャラクターを余すことなく、映し出す。それも魅力を1000%にして映すその手腕は簡単に真似できるものではない。

編集賞:『ハルチカ』

大胆且つキレのある編集にチャレンジしまくった作品。一見すると、普通の青春映画に見えるが、ラストの『セッション』さながら演奏シーンの繋ぎは斬新且つ完璧と言えよう。

録音賞:『ハクソー・リッジ』

メル・ギブソンの「映画で戦争やったるぜい!」という気持ちに録音が応えた!本物の戦場を再現しているので、本当に人が死んでいるのではと思う。そんな過酷な環境の音を録った録音スタッフに敬意を賞する。

歌曲賞:HIGHER GROUND feat. Dimitri Vegas & Like Mike

ハイロー2と3の主題歌です。このイントロを聴いただけで、テンションが5000%になる。その中毒性。『すばらしき映画音楽たち』で紹介されてもおかしくないクオリティ。

作曲賞:『ハルチカ』

本作通して紡がれる、青春の初々しく光に満ちた世界を包み込む音楽に多幸感を得た。重要な曲である『春の光、夏の風』は、いかにも吹奏楽部が奏でそうな楽曲であると共に、アクション的見せ場も用意されているので、素晴らしいと思いました。

視覚効果賞:『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』

折り紙をストップモーションアニメでやるという狂ったことをライカはやってのけた。その緻密な折り紙アクションは観る者の心を鷲掴みにした。

衣裳デザイン賞:『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』

色彩を拘りに拘ったジャクリーン・ケネディのファッションは、それだけでこの映画が傑作であることを証明して見せた。個人的にあの手のファッションが好きなので賞を与えた。

音響編集賞:『A GHOST STORY』

霊界とはなんぞや、黄泉とはなんぞやを徹底的に考え抜いた音響編集に唸らせられる。自宅で鑑賞したのだが、段々今いるこの空間は現実ではないのではと錯覚するような体験をした。パルコ配給らしいので恐らくアップリンクとか新宿武蔵野館とかでしか上映しなさそうだが、出来れば立川シネマシティで爆音上映をして欲しい。これは既に2度鑑賞しているが、映画館でも観たい作品である。

美術賞:『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』

もう言うことがない…

メイクアップ&ヘアスタイリング賞:『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』

同上

短編実写映画賞:『そうして私たちはプールに金魚を、』

長久充という怪物が誕生するのを今年は目の前で観た。『台風クラブ』を30分ぐらいにzip圧縮したような本作は、窮屈な学校という社会から抜け出そうとするギャル達の破壊的クレイジーな思想を見事映像にトレースすることができていた。今後に期待!

短編アニメーション:『インナー・ワーキング』

正直『モアナ』よりも楽しめた作品。『インサイド・ヘッド』の悪いところが総て解消されてこの短編に圧倒された。と同時に、あの会社の風景が日本そのもの過ぎて鳥肌が立った。

ベストポスター賞:『プールサイドマン』『ムーンライト



プールサイドを映しているだけなのに、なんかこの作品はヤバいぞ!と思わずにはいられない『プールサイドマン』。そして、3つの時代の主人公(別の役者が演じている)の顔を合成した『ムーンライト』のポスターに惚れた。

特別賞:American Vandal

今年はカイエ・デュ・シネマを筆頭にテレビドラマ『ツイン・ピークス THE RETURN』をベストテンに入れている映画情報誌/サイトが多かった。もはや映画の作り方もマーベル映画やNetflix映画を観ると海外ドラマっぽい造りをしていることが多く、無視できなくなってきた。とはいえ、ブンブン海外ドラマは集中力が続かなくて、ほとんど観たこともない。たとえ観たとしても1話で観るのをやめてしまう。そんな私が唯一嵌まったのはこの『American Vandal』だ。学校で先生の車にチンチンの落書きが施される事件が発生。犯人はチンチンの早描きで有名なyoutuber不良学生だと思われたが、、、という話。てっきりドキュメンタリーだと思って観ていたら、フェイクドキュメンタリーだと後で気づき驚愕した!二転三転する展開。段々と笑えなくなってくる展開に背筋が凍った!

ベスト予告編賞:『HiGH AND LOW THE MOVIE2 END OF SKY』『HiGH&LOW THE MOVIE 3 FINAL MISSION』

「S.W.O.R.D.それはこの地区で拮抗する5つのチームの総称」。この言葉を聞いたとき、この映画は傑作だろうと思った。予告編が進むと、混沌を極めた殴り合い、爆発に爆発、片輪走行とここ数年の日本映画で観たこともないような、マイケル・ベイもびっくりな戦場が映し出されていた。これは観たい!観たいぞ!と思った。

ベスト邦題大賞:『ジーサンズ はじめての強盗』

ベスト邦題大賞とは、「映画の味を損なわない」「食指が思わず動いてしまう」「独創性がある」「SEO的に強い(検索して1ページ目がその映画の記事で満たされる)」の4観点を総合評価して決めるもの。近年、クソ邦題でTwitterが荒れる(まあ昔だって『続・荒野の用心棒』や『サスペリア2』などといったクソ邦題は沢山あったんだけどね)。でもそんな中でも傑作邦題はいくつかあった。

今年は、『ジーサンズ はじめての強盗』に大賞をあげたい。原題はGoing in Style。「格好良くキメていこうぜ!」という意味。原題のままだとワケワカメなものを、見事に「ジーサンズ」という造語で世界観を表現して見せた。副題の「はじめての強盗」もはじめてのおつかいっぽくひらがなにすることで、ゆるーい映画であることを象徴した。これは人にオススメするときにも助かる邦題となっていました。

原題に戻すべき邦題大賞:『マイティ・ソー/バトルロイヤル』『ドリーム』『否定と肯定

前者は、何故原題の『Ragnarok』を『バトルロイヤル』に変えてしまったのだろうか。バトルロイヤルにしても、ソーとハルクのバトルシーンしかないので明らかにこの邦題は物語の味を変えてしまっている。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』以上に罪深い。

一方、今年最大級の炎上邦題となった『ドリーム』は配給会社がTwitter民に逆ギレし、副題は消しても、意地で『ドリーム』という邦題を守り続けた。原題の『Hidden Figures(隠された形)』の意味を100%損なった邦題である上、確かに「ドリーム」という名の映画は他にないのだが、数年後たった際にこの映画をオススメしたところで名前負けするのは確実だ。

そして最後に『否定と肯定』を挙げる。原題は『Denial(否定)』ってことを考えると、シンプル且つ良さげな邦題だと思ってしまうかもしれないが、映画を観ると、ホロコースト否定論者と戦うのは歴史学者である。この映画にホロコースト肯定論者は登場しません。この邦題は二律背反なのだ。ホロコースト否定論者はヒトラー擁護派。ホロコーストに対して「肯定」と言ってしまうことは、大量虐殺は正しいことであると言っていることと等しく、この邦題ではヒトラー擁護派とヒトラー擁護派の話に見えてしまうのだ。

潔く『ディナイアル』で良かったのではないでしょうか。まあSEO的には、ゲームの記事が沢山1ページ目に出てしまうのでよくないとは思いますが。

2017年総括






※クリックすると拡大します。

2017年は659本の作品と出会いました。てっきり映画館で200本近く観ていると思ったのですが、Netflixや輸入DVDで観ていたりすることが多かったので意外と本数は増えませんでした。それでもマイナビニュース『2017年、過半数が「映画館で映画を観た」! 邦画・洋画の割合はほぼ半々』によると、映画館で映画を100本以上観る人は0.5%ぐらいしかいないので、十分映画変人と言えるでしょう。

ブログの方は、ココマルシアターの記事がBUZZったせいもあるのか、469,801PVと昨年から約1.40倍アクセスが増えました。クソブログなのに読んで頂きありがとうございます!励みになります!

2018年もよろしくお願いします。

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Comment

  1. cinéma より:

    『否定と肯定』はホロコーストの(存在の)否定と肯定という意味だから特におかしくないと思いますよ。虐殺はなかったという否定論者と、あったという肯定論者がでてきます。

    • chebunbun より:

      cinemaさん、ご意見ありがとう御座います。確かに、ホロコーストの存在に対する『否定と肯定』という意味だとは思うのですが、「肯定」が持つ言葉の重みが強すぎてあまり好きにはなれませんでした。内容的にも、単純にホロコーストがあったかどうかよりも、ホロコースト否定論者に対して社会がどう関わっていくかという深い次元の話なのでやはり自分は原題のままが良いと思いました。

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