『火花』映画監督の才能あるお笑い芸人・板尾創路

火花(2017)

監督:板尾創路
出演:菅田将暉、桐谷健太、木村文乃etc

評価:80点

お笑い芸人「ピース」の又吉直樹の芥川賞受賞作品『火花

』。昨年、Netflixでドラマ化されて話題になったが、今度は板尾創路の手で映画化された。板尾創路が映画?と思うかも知れないが、実は『板尾創路の脱獄王』『月光ノ仮面』についで監督3作目なのだ。果たしてどんな作品になっているのだろうか…

『火花』あらすじ

売れないお笑い芸人・徳永は営業先で同じく売れない芸人神谷と出会う。本能的に生きる神谷に惹かれる徳永。そんな二人の10年に及ぶ芸人ライフが描かれる…

板尾創路の才能に注目せよ!

お笑い芸人又吉直樹の芥川賞受賞作を映画化。正直、観る前まで不安だった。映画ファンの評判が微妙だったのもあるが、なんといっても原作自体がネタ的に面白くないからだ。凡庸な芸人苦労物語を、言葉選びの妙による力技で書いたものにしか見えない。確かに、全編に渡り、火花の仄かな熱さは感じても、これが芥川賞か、、、と思ってしまった。

だからこそ、映画版に不安を感じた。しかし、板尾創路はやはり映画を撮るセンスがあったのだ、私が高校時代沖縄国際映画祭で『月光ノ仮面』を観た時あまりの凄まじさに当時の年間ベストに入れた思い出がある。デビュー作の『板尾創路の脱獄王』も面白かった。

今回、板尾創路は徹底的に映画ならではの表現から文学を語ろうとしている。

「漫才はボケの積み重ねだ」とネタ見せの際、審査員に言われる。映画はまさしく、それを踏襲し、テレビで見る漫才のような抱腹絶倒感はない、小ボケ、底辺漫才の痛々しいボケをモザイクのように散りばめていく。そして、原作の終始漂う暑苦しさを、オレンジトーンの画に落とし込んでいく。例え、場面がクリスマスだろうと春だろうと御構い無しにオレンジトーンを仕掛けることで雰囲気、空間を作り出していく。

そして、『ラ・ラ・ランド

』よりも、『EDEN

』よりも痛々しく地を這い蹲り生きる漫才師に心がキューと締め付けられる。

監督も芸人だけに、漫才の審査が観客と審査員とで乖離する嫌な感じ、つまらないクソ野郎がバラエティ番組で成功し切歯扼腕する様子が生々しい。

これは、まさかのベストテン入りか!
、、、と思ったのだが、終盤の大団円となる漫才シーンがあまりに露骨過ぎてドン引きしてしまった。あそこまで執拗に、過剰にやったら、ドラえもんのアレの二番煎じにしか見えないやろうが!

あれさえ良ければホームランだったのになぁと歯ぎしりを立てた私でした。

ただ、板尾創路は映画監督として、少なくとも松本人志よりは腕があるので、気が向いた時にまた新作に挑戦してほしいなー

P.S.今年は菅田将暉に男優賞をあげないとダメな年だ。『帝一の國』『あゝ荒野』と凄い演技を魅せてくれた。

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