ジョン・ウォーターズの2018年映画ベストテン発表!1位はブリュノ・デュモンの『ジャネット、ジャンヌ・ダルクの幼年期』

ジョン・ウォーターズの2018年映画ベストテン発表!1位はブリュノ・デュモンの『ジャネット、ジャンヌ・ダルクの幼年期』

12月に入り、各著名人や映画雑誌がベストテンを発表するようになりました。ブンブンは、毎年カイエ・デュ・シネマとジョン・ウォーターズのベストテンを楽しみにしている。どちらも、自分のアイデンティティが確立されており、独自の哲学で面白いベストテンを発表しているからだ。『ピンクフラミンゴ』でお馴染みカルト映画の帝王ジョン・ウォーターズのベストテンは、毎回意欲的なインディーズ映画を紹介してくれる。日本で公開される作品こそ少ないものの、機会があったら観たい作品が多いため、毎年チェックしている。

昨年は『ベイビー・ドライバー

』を1位にしていたジョン・ウォーターズ。今年は、当ブログでも絶賛したブリュノ・デュモンの『ジャネット、ジャンヌ・ダルクの幼年期』が1位となりました。それでは1位から順番に観ていきましょう。

ARTFORUMの記事からこの記事は書かれています

1位:ジャネット、ジャンヌ・ダルクの幼年期
JEANNETTE: THE CHILDHOOD OF JOAN OF ARC

監督:ブリュノ・デュモン
出演:リーズ・ルプラ・プリュドム、ジャンヌ・ヴォワザンetc

昨年のカイエ・デュ・シネマベストテンでも2位に選ばれた鬼才ブリュノ・デュモンのミュージカルが1位に選ばれました。本作は、ジャンヌ・ダルクの幼年期を描いた伝記物にも関わらず、ヘビメタやラップで全編進む異例のミュージカルとなっています。しかも素人のやる気無さげな踊りをシルクドソレイユのスタッフが手がけているという異例の作品になっています。ジョン・ウォーターズは

It’s the best movie of the year. You’ll hate it.
(こいつが俺の今年のベスト映画だ。あんたは嫌うだろうがね)

と皮肉交じりに絶賛した。そんな本作ですが、なんとユーロスペースで今月上映されます。
・12/16(日)14:00~
・12/22(土)14:00~
・12/24(月)18:40~

の3回だけ上映されるのだ!これはクリスマスデートに是非♪

2位:AMERICAN ANIMALS

監督:Bart Layton
出演:Spencer Reinhard, Warren Lipka etc

本作は驚きの作品だ。所謂BASED ON A TRUEストーリーものだし、予告編を観るとよくあるケイパーものに見えるのだが、なんとこの作品。事件の当事者、つまり犯人と役者を共演させた異色サスペンスになのだ。図書館にある貴重なアート本を盗もうとする若者たちがトラブルに巻き込まれていく様子が描かれます。ジョン・ウォーターズは、

Adolescent group madness is a beautiful thing to watch.
(思春期のグループの狂気は美しいものです。)

と語っています。

3位:Nico, 1988

監督:Susanna Nicchiarelli
出演: Trine Dyrholm, John Gordon Sinclair etc

『VOGUE』『ELLE』のモデルとして活躍し、アンディ・ウォーホル、フェデリコ・フェリーニ、フィリップ・ガレルのミューズとして活躍したニコの晩年を描いた作品。ニコが死ぬ直前に歌手としてツアーを行った様子が描かれているとのこと。

4位:マッド・ダディ
Mom and Dad

監督:ブライアン・テイラー
出演:ニコラス・ケイジ、セルマ・ブレア、アン・ウィンターズetc

今年は、『マンディ

』の登場で、ニコラス・ケイジに対する評判が一気に高まった年だ。しかし、ジョン・ウォーターズは『マンディ』ではなく、こちらのクレイジー・ニコラス・ケイジを推した。

A surprisingly scary, well-shot, pitch-black comedy about the day all parents in the United States decide to kill their own children. A laff riot!
(驚くほどに恐ろしく、ぶっ飛んでる、どす黒い全米の親が子供殺しを決心したコメディ。実に滑稽だ!)

と嬉々として褒め称えていました。

5位:BLINDSPOTTING

監督:カルロス・ロペス・エストラーダ
出演:デイビード・ディグス、ラファエル・カザル、ジャニナ・ガヴァンカーetc

保護観察終了間際の黒人青年が白人警官による黒人殺しを目撃したことからトラブルに見舞われる。現代アメリカを象徴するようなサスペンス。

The smartest and funniest film about race and class in a long, long time.
(人種と分類について長い長い時間かけて描いた、最もスマートで面白い映画)

と彼は賞賛しています。ひょっとして、今年の『ゲット・アウト』的ポジションの作品なのだろうか。

6位:THE GREEN FOG

監督:Evan Johnson、Galen Johnson、ガイ・マディンetc

日本ではあまり知られていない実験映画の巨匠ガイ・マディンがEvan Johnson、Galen Johnsonと一緒に作った新作。ジョン・ウォーターズはガイ・マディンのファンで2015年度には『THE FORBIDDEN ROOM』を選んでいることから、今回も納得だ。アルフレッド・ヒッチコックの『めまい』に対する再構築を行った作品とのこと。ガイ・マディンは、クラシック映画の再構築によって別次元の世界を魅せることで有名。カイエ・デュ・シネマが手を叩いて喜びそうなことをずっとやっているのに、無視され続けているのは意外。ゴダール崇拝者で、今一番ゴダールの脱構築を理解している監督に見えるのだが…そもそもフランスで公開されていない??

7位:ジュリアン
CUSTODY

監督:グザヴィエ・ルグラン
出演:レア・ドリュッケール、ドゥニ・メノーシェetc

第74回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した作品。離婚調停の結果、隔週で母親、父親のところに過ごすこととなったジュリアン。父のところに預けられたジュリアンだったが、母と連絡が取れなくなってしまう。真実を知るものの嘘をつき続けるジュリアンに父がイライラしていくというドラマ。

どう考えても危険で嫌なドラマなのに、ジョン・ウォーターは多幸感を得たのかhappy!と連呼していました。

日本公開は1/25(金)

8位:SOLLERS POINT

監督:Matthew Porterfield
出演:McCaul Lombardi, Jim Belushi etc

ドラッグ・ディーラーを小ぢんまりと行っている男を通じてボルティモアの閉鎖社会をあぶり出す作品。McCaul Lombardiの演技に引き込まれるとのこと。

9位:LET IT FALL: LOS ANGELES 1982–1992

監督:John Ridley

1982年~1992年に過激化したロサンゼルスの暴動について追ったドキュメンタリー。1980年代から歴史を紐解いていくことで、1992年4月に発生したロサンゼルス暴動のメカニズムを深く洞察するというもの。ジョン・ウォーターズが涙した魂のドキュメンタリーである。

10位:PERMANENT GREEN LIGHT

監督:Dennis Cooper, Zac Farley
出演:Théo Cholbi, O.B. De Alessi etc

暴力的で薬物に関する小説、詩を書くDennis Cooperが視覚芸術家のZac Farleyとタッグを組み製作した作品。ロベール・ブレッソンに影響を受け少年の孤独に迫った作品とのこと。

最後に

今年のベストテンも、他の映画誌や映画監督が提示しないような独特な選出になっていました。中にはIMDbにすらあらすじが書いていないインディーズ映画なんかもあって、ブンブンの好奇心を刺激しました。個人的に『THE GREEN FOG』と『ジュリアン』に惹かれました。来年も期待できそうです。

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