『La maison du vent』家を建てにカメルーンに帰ってきておくれ

La maison du vent(2026)

監督:オーギュスト・ベルナール&Kouemo-Yanghu
出演:Babetida Sadjo,Tatiana Rojo,Josette Kwanya etc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第83回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門にて審査員特別賞を受賞したカメルーン映画『La maison du vent』を観た。カメルーンはここ最近、隣国ナイジェリア映画業界がNetflixとの関係で盛り上がっているせいか注目されつつある。『漁村の片隅で』の印象が記憶に新しい。

三大映画祭されるアフリカ映画の大きな傾向として、ヨーロッパとの自国との関係性を結び付けたものがある。そして、ヨーロッパへ渡ったインテリが故郷へ戻りその文化差と折り合いをつけていく内容が多いのだが、本作は故郷に留まる者の目線から描かれている。

『La maison du vent』あらすじ

Josette (75) lives alone in Yaounde, Cameroon. All her children have left for “better lives” in the West. Josette hopes that one of them will come back to live near her. She meets a young woman and the two women become very close.
訳:カメルーンのヤウンデで一人暮らしをするジョゼット(75歳)。子供たちは皆、「より良い生活」を求めて欧米へと旅立ってしまいました。ジョゼットは、子供の誰かが戻ってきて、自分の近くで暮らしてくれることを願っています。ある若い女性と出会った彼女は、その女性と親密な仲になっていきます。

※IMDbより引用

家を建てにカメルーンに帰ってきておくれ

主人公は80歳にもなる老婆ジョゼット。子どもたちは皆国外へ渡っている。とはいえ、現代はインターネットで簡単に繋がることができる。PCモニタ越しに子どもたちの元気な姿を見ている。とはいえ、もうこの年だ。リアルで子どもたちに会いたい。カメルーンに戻ってきてほしい。そう考えたジョゼットは「家を建てる」と宣言し、子どもたちを帰郷させようとする。そんな中、若い女性サラと出会う。サラはジョゼットの計画に賛同し手伝うのだが、その中である頼みごとをする。それがカメルーンに帰国する婚約者に母親のフリをしてほしいとといったものだった。

本作は、望む者は帰って来ず、望まぬ者が歩みよる中で生じる葛藤を建築中の家に象徴させて描いている。家の中は、どこか不思議な空間となっている。その空間には、写真がたくさん飾られており、黄昏に生きるジョゼットが人生の最期にと家族の断片を拾い集めるよう家を建てていることがわかる。ジョゼットはいつか家族が帰ってきて、一緒に暮らせることを期待している。だが、それは叶いそうにない。代わりに擬似家族を形成する提案がなされるが、その提案は親密な関係になってから提示されるので、彼女にとっては「利用された!」といった気持ちが強まってしまう。歪な形で目的は達成しそうだが、その歪さには耐えられない。

アフリカ映画が伝統的に描いてきた、渡欧と帰郷の物語をユニークな形で脱構築した一本として興味深く観た。