『レザレクション/Resurrection』映画、それは夢生成装置

レザレクション(2025)
原題:狂野时代
英題:Resurrection

監督:ビー・ガン
出演:ジャクソン・イー、スー・チー、マーク・チャオ、リー・ゲンシーetc

評価:85点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

映画の途中で3Dメガネをかけるよう促す異色作『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』で知られているビー・ガン新作にして第78回カンヌ国際映画祭にて特別賞を受賞した『レザレクション/Resurrection』を観た。日本では、リアリーライクフィルムズが配給することとなっているのだが、トラブルに寄り公開延期となっている。ただ、これは劇場で観直したいほどの圧倒的な視覚芸術であった。

『レザレクション/Resurrection』あらすじ

In a society where people stop dreaming to extend their lifespan, some dangerous individuals still dream, warping the fabric of time. We experience five dreams, for each of the senses, each chronologically representing a period of cinema.
訳:寿命を延ばすために人々が夢を見ることをやめてしまった社会において、なおも夢を見続け、時の織り目を歪めてしまう危険な者たちがいます。私たちは五感それぞれに対応する5つの夢を体験することになりますが、それらの夢は、映画史における各時代を時系列順に映し出すものでもあります。

※IMDbより引用

映画、それは夢生成装置

本作はクリストファー・ノーラン『インセプション』のようなリッチな空間造形と今敏作品のような語りで夢を巡る物語が展開される。

長寿と引き換えに夢を観ることを諦めた世界で、映画の中に隠れて夢を観続ける怪物《デリリアント》を追跡する。デリリアントの持つ映写機を通じて彼女は彼の夢の中へと入っていく。本作は数十分ごとに映画のジャンルを超越しながら、映画=夢装置といった方程式を組み上げていく。ここで提示される世界には圧倒されるものがある。冒頭20分、ドイツ表現主義のサイレント映画タッチの物語が展開される。紙が燃えると、その穴から群衆が我々観客のことを覗いている。我々が観る映画の世界は、サイレント映画なので現実の運動とは異なりカクついたものとなっている。そして、大きな屋敷空間に巨大な手が干渉し、ぐるぐると回る空間の中を登場人物が彷徨い、その深淵で今にも朽ち果てそうなデリリアントを見つける。

そこから映画は様々な世界へと転がっていく。フィルム・ノワールに始まり、チャン・イーモウ『HERO』を彷彿とさせる情緒豊かな寺院での対話劇、そして恋愛映画と。

フィクションを凌駕する程、凄惨な現実を前に映画は何をできるのか?純粋な《夢》を作ることができるのか?といった問いにビー・ガンは答えていく。思い返せば、『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』も映画を通じて夢の世界へ入っていく内容であった。さらにパワーアップし、映画黄金時代のリッチな世界を余すことなく魅せた一本だったといえよう。

確かにこれはカンヌ国際映画祭でパルム・ドールというよりかは特別賞に相応しい一本だった。M83の楽曲も相まって素晴らしかったので、劇場で再鑑賞したいところである。