太陽(てぃだ)ぬ色(2026)
The Color of the Sun
監督:グザヴィエ・テラ
出演:ウェスト・マルホランド、尚玄、小田エリカ福本幸子 etc
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第83回ベネチア国際映画祭にて沖縄を舞台にした作品『太陽(てぃだ)ぬ色』が国際批評家連盟賞を受賞した。
本作は、カナダ出身で東京を拠点に活動する写真家グザヴィエ・テラの初長編作品である。彼は2021年に沖縄・奥武島を舞台にした写真集「青 or the offspring of a blooming death」を発表している。この時に感じた沖縄の独特な空気感に魅せられて映画を撮ったとのこと。
『太陽(てぃだ)ぬ色』あらすじ
On the main island of Okinawa, Kamei and his friends find themselves contemplating their future during summer break before their final year of high school. Everything shifts when Colin, a young teenager raised on the American base, enters their lives. First sexual awakenings, blurred loyalties, and betrayal unfold beneath the drone of helicopters. Amidst the subtle power plays between locals and occupiers, the clashes and similarities between Kamei and Colin reveal a raw coming-of-age story that asks what it means to belong.
訳:高校最後の学年を控えた夏休み、沖縄本島で過ごすカメイと友人たちは、自分たちの将来に思いを巡らせていた。そんな彼らの日常は、米軍基地内で育った少年コリンとの出会いによって一変する。ヘリコプターの轟音が響く中、初めての性の目覚め、揺れ動く忠誠心、そして裏切りといったドラマが展開していく。地元の人々と基地関係者との間に漂う微妙な力関係を背景に、カメイとコリンの衝突と共通点が浮き彫りにするのは、「どこかに属する」ことの意味を問いかける、生々しい青春の物語である。
遠くて、近い距離を手繰り寄せて
高校最後の夏休み。アンニュイな生活を送っていた男子高校生だったのだが、ある日、同級生の女の子が行方不明となってしまう。彼女を探す中で米軍基地で育った同世代の子と出会うといったもの。
沖縄における米軍との軋轢をテーマとした作品であり、劇中でも米軍反対運動の場面はあるのだが、若者の目線で描かれているところがポイントである。つまり高校生特有の無限にあるような時間、どこまでも行けそうな空間に身を置きつつも、どこにも行けないし、アンニュイさがひりつく閉塞感へ傾く空気を主軸とした演出でもって沖縄を描いているのだ。
写真家が撮る映画は常にバキバキに決まっているのだが、本作はアピチャッポン・ウィーラセタクン映画の撮影で知られているサヨムプー・ムックディプロームが撮影を手掛けていることもあり、ぼやけたフレームの中を走る若者、赤と青が混じった頽廃的な空気、マジックリアリズム的撮影に惹き込まれる。
そして、そのような空間で対立関係にある沖縄人と米軍との間にある心の距離感を模索していく。米軍基地で育った男の子は、少しだけ日本語が話せる。主人公もまた少しだけ英語が話せる。互いに母語を織り交ぜながら話すのだが、自然と伝わる。互いの喪失を埋め合うような対話となっている。しかし、完全にどちらかに傾くことはない。それは主人公が虚空を見つめるようにオスプレイを眼に捉える距離感に近いであろう。決して埋まることのない軋轢、だが歩み寄ることはできる。このような繊細な空気をグザヴィエ・テラは《動く写真》としてフレームに焼き付けたといえよう。










