『ヴォルテールのせい』セックスとメトロと高揚感のあるダンス

ヴォルテールのせい(2000)
La faute à Voltaire

監督:アブデラティフ・ケシシュ
出演:サミ・ブアジラ、エロディ・ブシェーズ、オーレ・アッティカ、ブリュノ・ロシェetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

日仏学院にてアブデラティフ・ケシシュの長編デビュー作『ヴォルテールのせい』を見つけた。小説の世界ではデビュー作に作家のすべてがあると言われるが、本作はアブデラティフ・ケシシュの特徴がすべて詰まっている原石であった。

『ヴォルテールのせい』あらすじ

Un jeune immigré clandestin de Tunisie tente de survivre dans le monde de la misère parisienne.
訳:チュニジアで密かに移民し、パリジェンヌで生き延びるための移民です。

IMDbより引用

セックスとメトロと高揚感のあるダンス

アブデラティフ・ケシシュの作品といえば、強烈なセックス描写とアフリカのエキゾティックなダンスを取り入れた連帯が特徴的である。本作は後に『メクトーブ,マイ・ラブ』シリーズを撮ることが必然的であったことを予見させる作品となっている。フランスに流れ着いた北アフリカ出身の男ジャレルは、そう簡単に良い職業に就くことができない。孤独を抱えた彼だったが、移民のコミュニティに潜り込むことに成功する。コミュニティの連中は口が悪く、共同宿泊所はスラムのようである。だが、フランスで生き抜く術を教えてくれる。まともな仕事がないので、パリのメトロで果物を売る。ネットワークができているので、警察の魔の手が近づいて来れば、教えてくれる人がいる。サッと稼いでズラかるのである。本作はパリを扱った映画において透明化されがちなアフリカ移民のありのままの生活を捉えている。実際にパリを歩いていると、この手の移民の物売りはたくさんいるのだが、映画となるといないかのように扱われる。このような移民はパリの中でどのようにして生活しているのだろうか。アブデラティフ・ケシシュは、剥き出しの生を性を交えながら描いていく。移民同士の緩やかな繋がりは民族舞踏でもって表現され、夢への渇望は激しいセックスでもって描かれる。アブデラティフ・ケシシュ監督は一貫して渇望を身体性の表現に置換して描く作家だということがこのデビュー作から読み解けるであろう。