Cause of Death: Unknown(2023)
監督:Ali Zarnegar
出演:Banipal Shoomoon、Alireza Sanifar、Neda Jebraeili etc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
2026年の第98回アカデミー賞国際長編映画賞のイラン代表はパルム・ドールを受賞した『シンプル・アクシデント/偶然』ではなく、何故か2023年に制作されたインディーズイラン映画『Cause of Death: Unknown』であった。『シンプル・アクシデント/偶然』のジャファール・パナヒ監督はイラン政府から目を付けられていたため、アカデミー賞の舞台ではフランス代表として選出された。実際に『Cause of Death: Unknown』を観ると、映画自体に罪はないし、本作自体もイラン政府の検閲によって公開延期となり2025年に極限定的な形で陽の目を浴びた作品である。しかし、『シンプル・アクシデント/偶然』ではなくこちらがイラン代表として選ばれている点、なにがなんでもジャファール・パナヒの功績を認めようとしないイラン政府の悪意が透けて見える。
『Cause of Death: Unknown』あらすじ
A van with seven passengers crosses the Lut Desert when an unexpected event forces them to make a difficult decision. With no help available, they uncover a startling discovery that deepens their crisis.
訳:乗客7人を乗せたバンがルト砂漠を横断する途中、予期せぬ出来事が起こり、彼らは困難な決断を迫られる。助けを求める術もなく、彼らは驚くべき発見をし、危機はさらに深まる。
ルート砂漠にて
本作は乗客7人を乗せたバンがルート砂漠を走行中に、乗客のひとりが死亡し、その遺体をどのように処理するかで揉めるといった内容である。ルート砂漠は夏の気温が70度に達したことがある世界で最も暑い場所として知られている。強風によって形成された特殊な奇岩ヤルダン、そして生物が住めないまでの不毛の地は世界遺産に登録されている。
さて、映画に戻ると登場人物の動かし方が『シンプル・アクシデント/偶然』とあまりにも似ていたので驚愕した。『シンプル・アクシデント/偶然』では、かつて自分を拷問したであろう人物を見つけて誘拐。関係者をバンに乗せて知り合いを辿っていく内容である。バンに乗った男を軸に男女の思惑が錯綜していく展開はまさしく『Cause of Death: Unknown』そのものであった。
ルート砂漠走行中に男が亡くなる。死亡証明書を発行できる医療従事者がおらず、救援を要請するも拒否されてしまう。そのまま遺棄するわけにもいかないので、この男の持ち物を調べていく。そして、議論を通じて、刑務所から一時的に釈放された者とか国外逃亡を画策しているもの、言葉が話せない女性が抱えている問題が明らかとなり、それがイラン社会の縮図として機能する。
奇遇にもジャファール・パナヒがイラン社会における制約の中、車を用いた心理劇でもって社会を描こうとしたことと同じアプローチで重厚な物語が紡がれていたのだ。ルート砂漠の心象世界たる荒涼とした空間も相まって観る者を呼吸困難にさせる重々しさが全体に揺蕩っているといえよう。
日本からは鑑賞困難ではあったのだが、現在トルコのMUBIで英語字幕付きの配信が行われているのでVPNを使うことで鑑賞ができる。











