『終わりの鳥』心理的不安を客観視して

終わりの鳥(2024)
Tuesday

監督:ダイナ・オニウナス=プシッチ
出演:ジュリア・ルイス=ドレイファス、ローラ・ペティクルー、アリンズ・ケネ、リア・ハーベイ、エリー・ジェームスetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

忙しくてパスしていた『終わりの鳥』がプライムビデオに来ていたので鑑賞した。

『終わりの鳥』あらすじ

命の終わりを告げる鳥と対峙する母娘を描いた奇想天外なドラマ。クロアチア出身の新鋭ダイナ・O・プスィッチが長編初メガホンをとり、“死”という概念を独創的な映像表現で視覚化。病気の少女とその母親が奇妙な鳥との出会いを通して、間もなく訪れるであろう別れを受け止めていく姿を、ユーモアを交えながら描きだす。

病に侵され余命わずかな15歳の少女チューズデー。母ゾラと暮らす彼女の前に、しゃべって歌う変幻自在な1羽の鳥が舞い降りる。それは地球を周回して生きものに命の終わりを告げる「デス」という名の鳥だった。チューズデーはデスをジョークで笑わせ、外出中のゾラが帰ってくるまで自分の命を引き延ばすことに成功する。やがて帰宅したゾラは鳥の存在に畏れおののき、愛する娘のもとから遠ざけるべく暴挙に出るが……。

「恋人はアンバー」のローラ・ペティクルーがチューズデー、テレビドラマ「Veep ヴィープ」のジュリア・ルイス=ドレイファスが母ゾラを演じた。

映画.comより引用

心理的不安を客観視して

本作は『エルム街の悪夢』や『縮みゆく人間』、『ふしぎの国のアリス』のように心理的不安の距離を扱った作品となっている。余命僅かな少女の前に死を告げる鳥が現れる。この鳥はサイズが変わる特殊能力を持っている。母は死闘の末にこの鳥を倒すのだが、心身に影響を及ぼしていく。

鳥は人間に言葉を発する時、重厚であるのだが、鳥の内面では不気味なほどにノイズが揺さぶりをかけている。足は接着剤が付着しているようで歩き辛そうにしている。心身ともに枷がついているような状況である。それを取り込んだ母は、不安や怒りといったネガティブな感情を纏うとサイズが変化する。彼女の情緒不安定さを肉体が反映していくのである。本作が興味深いのはテーマが「急に具合が悪くなる」と一緒なところにある。不確定ながら一定の確実性を持ったネガティブさに対してどのように折り合いをつけていくかが本作の場合、形而上のアプローチで描かれている。そして、本作では主人公の少女ではなく、少女を通じた母の姿を通じて精神不安のベクトルを表現しようとしている点が面白い。

しかし、一方でA24映画にありがちな小手先のビザールさで誤魔化されている部分が多く、サイズ表現含めてもっとやりようがあっただろうなと思った。