オークストリートの異変(2026)
The End of Oak Street
監督:デヴィッド・ロバート・ミッチェル
出演:アン・ハサウェイ、ユアン・マクレガー、メイジー・ステラ、クリスチャン・コンヴェリーetc
評価:65点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
『アンダー・ザ・シルバーレイク』以降、長らく沈黙していたデビッド・ロバート・ミッチェル監督がスピルバーグ映画のようなものを引っ提げて凱旋した!
2026年はやたらと恐竜映画が公開されているが、そこに肩を並べる『オークストリートの異変』が8/14(金)より全国公開となる。今回、マスコミ試写で一足早く観させていただいたのだが、真っ先に浮かんだ感想が「映画クレヨンしんちゃん」であった。
『オークストリートの異変』あらすじ
アン・ハサウェイとユアン・マクレガーが共演し、平和な町を襲った異変から生き延びようと奔走する家族の運命を、圧倒的スケールでスリリングに描いたサバイバルスリラー。
プラット家の4人家族は、平和な町オークストリートで普通の毎日を過ごしていた。しかしある日を境に町で不思議な現象が起こりはじめ、水道や電気も完全に止まってしまう。不穏な空気が町を覆うなか、絶滅したはずの恐竜が次々と現れ、住民たちを容赦なく襲いはじめる。プラット家の家族は手近な武器を手に取り、さまざまな恐竜の脅威をくぐり抜けて町から脱出するべく奔走するが……。
一家の父グレッグをマクレガー、母デニースをハサウェイが演じ、「マイ・オールド・アス 2人のワタシ」のメイジー・ステラが娘オードリー役、「THE MONKEY ザ・モンキー」のクリスチャン・コンベリーが息子ブライアン役を務める。監督・脚本は「イット・フォローズ」「アンダー・ザ・シルバーレイク」のデビッド・ロバート・ミッチェル。製作には「クローバーフィールド」「ミッション:インポッシブル」シリーズなどのヒットメーカー、J・J・エイブラムスが名を連ねた。
デビッド・ロバート・ミッチェルが映画クレヨンしんちゃんを撮ると……
本作はサバービアが突如ジュラシックワールドへ転送されてしまい、ありふれた家族が生き残りをかけて戦うアドベンチャームービーである。ジュラシックワールドへの転送は段階的であり、まず庭に不自然な植物が生える異変が映し出される。このフラグにクレヨンしんちゃんのような面影を感じる。そしてある晩を境にサバービアの区画がジュラシックワールドへと共生転移してしまう。町から出ようとするとジャングルや崖によって遮られており、「漂流教室」のような空気感も揺蕩っている。
一見すると夏休み向けのライトなアドベンチャームービーに思えるが、ポップカルチャーを用いながら絶妙に外してくるデビッド・ロバート・ミッチェル監督作なので、一筋縄ではいかない内容となっている。
まず、本作はサバービア映画として作られている。サバービアとはアメリカ郊外を示す言葉であり、映画の中でもアイコン的空間として使われている。中産階級の豊かな生活、平和に思える場所でありながらも均一化された暮らし、停滞感はどこかディストピアのように思える。映画を観ていくと、平凡な一家は機能不全に陥っていることがわかる。大黒柱である父はミドルクライシスに陥っているようである。妻は家族への鬱憤を小説に書いている。子どもたちは近所のいじめっ子と対峙している。それぞれが問題を抱えており、崩壊寸前でありながらも家族といった概念的空間とサバービアといった物理的空間が個々を繋ぎとめている。
そんな中、異常事態が発生する。だが、この異常事態自体にも異変がある。通常のモンスターパニックであれば住民たちが右往左往するだろう。ましてや巨大な恐竜、騒々しい小さい恐竜がいるような世界であれば、サバービアには悲鳴が終始轟くことであろう。しかし、本作のサバービアはやけに静かなのだ。人類が消滅した世界のように描かれている。かと思うと突然、サバービアの住民が逃げる様子や巨大な恐竜が暴れている場が出現する。
この異様な光景からはデビッド・ロバート・ミッチェルが、サバービアにおける人との繋がりの希薄さによる表現ではとうかがえる。均一化されたサバービアの空間からは個人が見え辛く、隣人の問題は空気のように扱われる。異常事態を前に、他者に構っている暇はないため、突然人が死に、突然異常と対峙する事態が発生するといった彼なりのサバービア哲学が見え隠れするのだ。
そして、本作が面白いのはアメリカ映画において必要な要素である家族の絆に揺さぶりをかける場面が存在することだ。もちろん、夏休み向け娯楽作品なので最終着地自体は家族の絆を強固にするものではあるのだが、数か所に渡り露悪的な揺さぶりを忍び込ませているのである。
このゾッとするような外し方はダン・オバノンが『スペースインベーダー』で演出したものに近く興味深く感じた。
日本公開は8/14(金)











