『フットルース』西部劇の換骨奪胎

フットルース(1984)
Footloose

監督:ハーバート・ロス
出演:ケヴィン・ベーコン、ロリ・シンガー、、ジョン・リスゴー、ダイアン・ウィーストetc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

現在放送中のアニメ「ヤニねこ」で色んな映画のシーンをサンプリングするオープニングが物議を醸している。近年のアニメ作品ではネットミームのように映画や美術作品を引用する傾向があるのだが、映画史・美術史を雑にフリーライドしている印象がある。「ヤニねこ」も確かに劇中でカンサイねこが『ツイン・ピークス』を引用しながらツッコミを入れる場面があり、TSUTAYA時代の文化人感はあるので関係なくはないもののやはり雑にゼロ年代の映画ファンをサンプリングしている印象を受ける。そんなことを考えながらオープニングを観ていたら懐かしい映画が引用されていた。それが『フットルース』である。

『フラッシュダンス』を始めとする1980年代に流行したミュージックビデオのような演出で魅せるミュージカル映画群の一本である本作は、ケニー・ロギンスの主題歌をバックに足元のダンスだけをクローズアップさせていくオープニングが有名すぎて映画以外のところで引用される傾向がある。当然ながら「ヤニねこ」のオープニングもこの場面を引用している。またマクドナルドのCMでは楽曲そのものが使われたことがある。そしてサカナクション「ネイティブダンサー」のMVでは露骨にこの演出を援用している。しかし、これだけ有名な作品な割には周りで観ている人を観たことがない。わたし自身、中学の時に観てオープニングこそヘビロテするぐらい好きだった一方で映画の中身についてはショベルカーで決闘する場面しか覚えていなかったりする。ということで再鑑賞してみた。

『フットルース』あらすじ

保守的な社会に反発する若者たちの恋と友情を描き、主演を務めたケビン・ベーコンの出世作となった青春ドラマ。ユタ州の田舎町ボーモント。シカゴから引っ越してきた高校生レンは、この町では公序良俗の名のもとにロックもダンスも禁止されていることを知り困惑する。そんな中、牧師の娘エリエルに恋心を抱いたレンは、彼女のボーイフレンドである不良グループのリーダー、チャックから目をつけられてしまう。やがて保守的な大人たちに立ち向かうことを決意したレンは、仲間たちとダンスパーティを企画するが……。監督は「愛と喝采の日々」のハーバート・ロス。ケニー・ロギンスによる主題歌「フットルース」も世界的ヒットを記録した。

映画.comより引用

西部劇の換骨奪胎

本作は西部劇を換骨奪胎したような内容である。

保守的な町の学校にケビン・ベーコン演じるレン・マコーミックが転校してくる。この町はショー・ムーア牧師が主導となってロックやダンスを禁じてきた。レンは洗礼がごとく生徒や警察に絡まれることになるのだが、生徒の中にもこの戒律に対して疑問を抱いている者もおり共闘して卒業パーティーでダンスを踊る権利を勝ち取ろうとする。

映画は80年代ポップソングを背にケビン・ベーコンのチャラくも真面目、しなやかに踊り、喧嘩も強い様を魅力的に描いていくのだが、1対1の決闘、村社会の暗さに対して晴天による美しーロケーションを配置するあたりに西部劇を感じる。

そして今回意外に感じたのが、これだけ反体制の映画にもかかわらず牧師を説得するのは議会のような空間で行われる点にある。西部劇的な映画と聞くと最終的に暴力で解決するイメージがあるが、本作は民主主義で解決しようとしているところが面白いのだ。

また、本作のユニークな特徴ともいえるショベルカーバトルのシーンで流れる曲が、今となっては懐メロバックで戦うアクションシーンのクリシェになっているボニー・タイラー”Holding Out For A Hero”であり衝撃を受けたのであった。