『赤いアニンシー; あるいはいまだに揺れるベルリンの壁をつま先で歩く』ユースフル・ゴースト監督が放つスパイ劇

赤いアニンシー; あるいはいまだに揺れるベルリンの壁をつま先で歩く(2020)
Red Aninsri; Or, Tiptoeing on the Still Trembling Berlin WallRatchapoom Boonbunchachoke

監督:ラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『ユースフル・ゴースト』が公開されて話題となっているが、企画イベントでラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク監督の短編映画『赤いアニンシー; あるいはいまだに揺れるベルリンの壁をつま先で歩く』が観られるということで配信権を購入して観てみた。

『赤いアニンシー; あるいはいまだに揺れるベルリンの壁をつま先で歩く』あらすじ

現代のバンコクに住む、かわいくてフェミニンな声をもつアン。カトゥーイでセックスワーカーの彼女が潜入スパイとして遂行する特別ミッションを課せられた。しかし、そのミッションはアンがシス男性を装い学生のアクティヴィストと“いい関係”になることから始まる。そのお相手であるジットは、悪人の声声で話す堅い青年だった。

ユースフル・ゴースト監督が放つスパイ劇

『ユースフル・ゴースト』に引き続き、本作はB級映画の仮面を被りながらタイ社会を描こうとしている。雰囲気としてはアピチャッポン・ウィーラセタクン『アイアン・プッシーの大冒険』に近いアプローチだろう。主人公のアンが男性を装いながら潜入するスパイものとなっている。銃撃の場面ではその瞬間は提示せず、赤い点滅で表現しているアート映画としての拘りが見える。映画はスパイ映画におけるバレるかバレないかといったサスペンスを通じてタイ社会で生きるマイノリティのバレるかバレないかといった緊迫感を表現しており、ライトなタッチに思わせておいてターゲットと対峙する場面では強い緊張が生まれている。短編映画時代からパワフルな作品を放っているため、次は間違いなくカンヌ国際映画祭コンペティション部門進出かつ何かしら賞を獲るだろう。