ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023)
The Wonderful Story of Henry Sugar
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、レイフ・ファインズ、ベン・キングズレー、デヴ・パテル、リチャード・アイオアディ、ルパート・フレンドetc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
『フレンチ・ディスパッチ』や『アステロイド・シティ』など、最近、難解化が著しいウェス・アンダーソンがロアルド・ダールの小説を映画化した。『ネズミ捕りの男』と併せて観てみた。
『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』あらすじ
「チャーリーとチョコレート工場」で知られるイギリスの児童文学作家ロアルド・ダールの著作「奇才ヘンリー・シュガーの物語」を、「グランド・ブダペスト・ホテル」「アステロイド・シティ」のウェス・アンダーソン監督が映画化した短編。
大金持ちで働いたことことがなく、賭け事が大好きな男ヘンリー・シュガー。ある時、目を使わずにものを見ることができるという導師の存在を知った彼は、その力をギャンブルでイカサマをするために利用しようとするが……。
主人公ヘンリー・シュガーをベネディクト・カンバーバッチが演じるほか、レイフ・ファインズ、デブ・パテル、ベン・キングズレー、リチャード・アイオアディ、ルパート・フレンドらが出演。Netflixで2023年9月27日から配信。
ウェスの運動への狂気、ここに極まる
もはやウェス・アンダーソン映画において物語を期待してはいけない。ロアルド・ダールが原作といっても、ウェスの手にかかれば運動が優先されてよくわからないキメラが爆誕するのだから。だが、今回の運動は注目すべきものがあった。透視能力を持つ男が包帯グルグル巻きにされて廊下を疾走する場面があるのだが、フィックス、主観、停止に舞台的建物の再構築を連続して展開していくのだ。これには驚かされた。自分の好みであった。
『ネズミ捕りの男』もレビューする。ウェス・アンダーソンは段々と、機械仕掛けのロボットのように人間やカメラを動かすのに執着している気がする。もはやここまで来ると、内容というよりかは運動を観るだけのものな気がする。そう聞くとネガティブな印象を受けるが、映画って本来「運動を捉える」ところから始まっていたではないか。内容よりも運動が先にある。ウェス・アンダーソンはそんな映画の原始に迫ろうとしているのかもしれない。
※映画.comより画像引用