【ジェイムズ・ベニング特集】『アレンズワース』ベニングのカレンダー

アレンズワース(2023)
Allensworth

監督:ジェイムズ・ベニング

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。
ジェイムズ・ベニングが2023年のベルリン国際映画祭に出品した新作をまさか劇場で観られるとは思わなかった。『RR』で手応えを感じたので勢いで観たのだが、これはベニングがアレンズワースで撮影したカレンダーともいえる作品であった。

『アレンズワース』概要

1970年代初頭から個人制作による唯一無二のスタイルで精力的な活動を続けてきたアメリカの実験映画作家ジェームズ・ベニングが、カリフォルニア州で初めてアフリカ系アメリカ人によって統治された自治体アレンズワースの現在の姿を記録した作品。

1908年につくられたアレンズワースは、第1次世界大戦後に多くの住民が離れて荒廃の一途をたどり、近年では当時の歴史的建造物の復元・修復が行われている。ベニング監督は毎月1棟を12カ月にわたって撮影し、無人の建物に5分ずつカメラを向けていく。

唯一の例外として、ある女生徒が公民権運動家エリザベス・エックフォードのワンピースのレプリカを着てルシール・クリフトンの詩を朗読する姿を撮影。その演出により、小さなコミュニティの物語が黒人の歴史と交差する。特集上映「ジェイムズ・ベニング2023 アメリカ/時間/風景」(23年10月7日~13日、シアター・イメージフォーラム)上映作品。

※映画.comより引用

ベニングのカレンダー

つまり1~12月までを各5分程度の1ショットで撮ったものなのだ。多くは運動が存在しない。画の背景で列車の音や風、飛行機の音が鳴り響く。ベニングは「音」の映画作家だとしばしば言われるが、まさしく本作は音を堪能するタイプの作品である。実際に途中では、女が詩を朗読するパートが用意されている。

そうはいっても映画の運動構図として面白い月も当然ながら存在する。5月に注目してほしい。中央に大きな建物があるのだが、その背後を列車が通りかかる。このタイミングと、列車が通過することで完成される画に興奮したのだった。ベニング。29歳にして魅力に気づき始めたのであった。

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※映画.comより画像引用

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