『日本春歌考』なんとなくデモに参加する動きに注目

日本春歌考(1967)

監督:大島渚
出演:荒木一郎、岩淵孝次、田島和子、小山明子、伊丹十三、宮本信子etc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

Amazon Prime Videoを漁っていたら大島渚の『日本春歌考』があったので観てみた。

『日本春歌考』あらすじ

添田知道が性に関する俗歌を収集した「日本春歌考」に題名を借りて、大島渚が監督した異色の風俗ドラマ。セクシャルな妄想と現実との間で出口を見失い、自己を喪失していく大学受験生たちの姿を通じて、国家や家族といった共同体と一個人との係わり、性の問題を強く打ち出している。こののち「儀式」「愛のコリーダ」という、それぞれの問題を究極にまでつきつめた作品を発表した大島渚を語る上で、もっとも注目すべき一編。

映画.comより引用

なんとなくデモに参加する動きに注目

大学受験生の行き場のない鬱屈した感情と性欲を描いた大島渚監督作。ポーランド映画のような冷たさを大学キャンパスの空間造形で捉えていく。行き場がないからこそ、目の前の運動に惹かれていく様へシフトさせる。横移動する受験生たちを遮るようにデモが通りかかる。すると彼らは方向転換してカメラへと向かって前進していく。移ろい気味な感情を運動で表現しているところが魅力的である。受験生にとって落ちるとはある種の死を連想する。一発勝負の大舞台。緊張感を抑えつつ、内なる闇に飲み込まれそうになるのを墓標で表現している場面があるのだが、これは庵野秀明を始めとする日本のアニメに影響を与えたのではないかと感じるものがあった。鬱アニメで使われそうな構図だからだ。一方、大島渚の方はアベル・ガンス『戦争と平和』あたりを参考にしたんじゃないかなと思った。映画の内容こそは、そこまで乗れなかったのだが、画が面白い一本であった。

※U-NEXTより画像引用