『クンストカメラ/Kunstkamera』ヤン・シュヴァンクマイエルの頭の中

クンストカメラ(2022)
Kunstkamera

監督:ヤン・シュヴァンクマイエル

評価:80点


おはようございます、チェ・ブンブンです。

ヤン・シュヴァンクマイエル最期の作品は『蟲』ではなかった!先日の2023年上半期ベスト配信でKnights of Odessaさんが紹介していた『クンストカメラ』はチェコのストップモーションアニメ作家ヤン・シュヴァンクマイエルの最新作。ホルニー・スタニコフ村にある彼のコレクションを2時間スライドショー形式で魅せていくドキュメンタリーとなっており、海外では”『蟲』が遺作なら、これは死亡記事だ”と評価されているのだそう。そんな最新作が恵比寿から徒歩5分、LIBRAIRIE6 /シス書店で開催されている『ヤン・シュヴァンクマイエル「怪談」展』で観られるとのこと。実際に行ってみると驚かされた。小ぢんまりとした画廊に、iPadのようなディスプレイがあり、そこで2時間立ちっぱなしで観るスタイルだったのだ。私含め2人で最後まで鑑賞した。ラヴ・ディアス映画を鑑賞し切ったような達成感があった。本日はその感想を語っていく。

『クンストカメラ/Kunstkamera』あらすじ

ヤン・シュヴァンクマイエル監督最新作映画『クンストカメラ』(Kunstkamera)では、監督自ら長い歳月をかけて蒐集しホルニー・スタニコフ村にある彼自身の驚異の館に大切に保管されているKunstkameraの巨大なコレクションを初公開し、アントニオ・ヴィヴァルディの音楽のコラージュとともに、視聴者の皆様自身のインスピレーションを生み出す空間の散策に誘います。監督の許可をいただき、本邦初公開。

ヤン・シュヴァンクマイエル「怪談」展サイトより引用

ヤン・シュヴァンクマイエルの頭の中

ストップモーションアニメ的デジタルな動きでホルニー・スタニコフ村の屋敷に迫る。そこには手作りの枯山水や、彫刻がたくさん立ち並んでいる。中へ入ると、美術館かと思うほど所狭しと所蔵品が並べられていた。中には『アリス』のセットもある。彼のアイデアの源流も至るところに転がっており、ワニに巻き貝が寄生しているオブジェや果物で人物の顔を構築するアルチンボルドの作品などがある。日本文化に対する好奇心も強いらしく、春画も提示される。それをヴィヴァルディの四季に乗せて改善図示のように次々と展開していくのだ。ただ、美術品を魅せているだけではない。時折、シュヴァンクマイエルらしいカクついた運動でテーマ別に所蔵品を映していく。キュレーター・ヤン・シュヴァンクマイエルとしてのこだわりがあらわれているのだ。そのため、2時間立ちっぱなしの鑑賞は苦痛に感じなかった。

2023年7月8日(土)〜 8月13日(日)まで開催されているので、ヤン・シュヴァンクマイエルファンの方は是非、LIBRAIRIE6 /シス書店まで足を運んでみてください。

P.S.会場では『サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-』で撮影に使われたコラージュが販売されていたのだが、23万円!流石に手が出ませんでした。

※IFFRより画像引用

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