【YIDFF2023】『訪問、秘密の庭』最悪な被写体との向き合い方

訪問、秘密の庭(2022)
原題:La Visita y Un Jardín secreto
英題:The Visit and a Secret Garden

監督:イレーネ・M・ボレゴ

評価:0点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

山形国際ドキュメンタリー映画祭で最優秀賞こと山形市長賞を受賞した『訪問、秘密の庭』を観た。

『訪問、秘密の庭』概要

前衛芸術に参画した女性たちの最初の世代とされ、スペイン有数の画家のひとりであったイサベル・サンタロは、1980年代以降、芸術の表舞台から姿を消した。彼女の姪である監督は、現在では家族との付き合いも断ち隠遁生活を送る彼女の住まいを訪ねる。 本作はイサベル・サンタロという芸術家の作品や生涯を詳しく紹介する代わりに、猫とともに暮らす年老いた女性のたたずまいをじっと見つめる。彼女はなぜ絵画を発表するのをやめたのか。なぜ孤独な生活を選んだのか。やがて彼女が語り出す言葉が、芸術家として生きること、そして女性として生きることの真髄に触れる。

山形国際ドキュメンタリー映画祭サイトより引用

最悪な被写体との向き合い方

山形国際ドキュメンタリー映画祭でトンデモ映画を観た。本作は1980年代に芸術界から姿を消した前衛芸術家イサベル・サンタロにインタビューすることで、彼女に何があったのかを掘り下げていく作品である。ただ、この映画はドキュメンタリー映画の制作手法として疑問と憤りを感じる作品であった。

というのも、取材者や執拗にイサベル・サンタロへ怒鳴りつけながら強引に内なる感情を引き出そうとしているのだ。当然ながら彼女も半ばブチギレながら、突然家に押しかけ質問攻めするこの状況に対して抗議する。対して取材者は「私にとってこの映画は重要なの」とエゴを剥き出しにする。全くもってイサベルのことを考えていないのだ。

これは正直ドキュメンタリーとして一番やってはいけないことだし、人間関係を築きながら撮影する基本すらできていない有害な作品にしか見えなかった。
※山形国際ドキュメンタリー映画祭サイトより画像引用