サマーウォーズ(2009)
監督:細田守
出演:神木隆之介、桜庭ななみ、横川貴大、谷村美月、富司純子(藤純子)、斎藤歩、谷川清美、佐々木睦、信澤三惠子(信沢三恵子)、永井一郎etc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
VTuber竜輝竜さん(@r_gotyo)の「映画食わず嫌い王決定戦」で5本映画を選ぶ際に、細田守作品縛りにした関係で『サマーウォーズ』を再観した。高校以来久しぶりの鑑賞だったが、システムエンジニアになった今観ると興味深い演出が多い作品であった。
『サマーウォーズ』あらすじ
「時をかける少女」の細田守監督が、同作に続いて脚本・奥寺佐渡子、キャラクターデザイン・貞本義行とともに描くオリジナル長編アニメーション。数学が得意だが気弱な高校2年生の健二は、憧れの先輩・夏希に頼まれ、夏休みの間、彼女の実家で夏希のフィアンセとして過ごすことに。そんな時、健二はネット上の仮想空間OZで起きた事件に巻き込まれ、その影響が現実世界にも波及。夏希の一家ともども、世界の危機に立ち向かう。2009年の劇場公開から10周年を記念したプロジェクトの一環として、20年1月に体感型上映システム「4DX」に対応した4DX版が公開。
技術に悪はない
本作は、細田守映画特有の特定の小さな領域から世界を救う物語となっている。物理世界と仮想世界との相互作用を描く舞台装置として田舎町が面白い機能を果たしており、電話やテレビ、家族の持っているパソコンから断片的にインフラがぐちゃぐちゃになってしまっている様子と対比するように、仮想世界でハッキングした親玉が悪さをする。目に見えないところから攻撃されている様子を視覚化した点、アニメの強さを活かせており良いと思う。特に、アクセス権を奪った親玉が、カーナビの表示を破壊する場面を、交通標識の入れ替えで表現するところは小学生にもヤバさが伝わるものとなっており、学校の授業で観せる推奨作品といえよう。また、本作では「技術自体に悪はない」と語っているところも興味深い。昨今、AIがイラストを描いたり文章を書いたりする状況に物議を醸している。しかし、エンジニアの観点からすれば技術自体は物事を善くするために生まれているのであって、それを悪用することがいけないと考える。それを訴えている本作に共感を覚えた。
無論、スパコンが秒で届いたり、有識者が多すぎる田舎の一族には行き過ぎたご都合主義を感じるものの、マイルド爽やかに仮想世界と物理世界の危機を描く姿は好きであった。
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