汚れた血(1986)
Mauvais sang
監督:レオス・カラックス
出演:ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ、ミシェル・ピコリ、ジュリー・デルピー、ミレーユ・ペリエ、ハンス・メイヤー、キャロル・ブルックス、セルジュ・レジアニetc
評価:65点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
レオス・カラックスの大人気作『汚れた血』を観ました。レオス・カラックス好きの間では『汚れた血』好きが圧倒的に多いイメージ。私は高校3年生の時に、『汚れた血』が熱い話を聞いて背伸びして観てよく分からなかった記憶がある。今回は何か発見あるのだろうか?確認してみた。
『汚れた血』あらすじ
レオス・カラックスの、アレックスという青年を主人公にした3部作の2作目。愛のないセックスで伝染する死の病、STBOが蔓延する近未来のパリ。父を亡くしたアレックスは、父と同じく借金を抱える父の友人マルクから、ある製薬会社が開発したSTBOの特効薬を盗む話を持ちかけられる。マルクの愛人アンナをジュリエット・ビノシュが、アレックスのガールフレンドのリーズをジュリー・デルピーが演じている。
白馬の天使が追いかけてくる
愛のないセックスにより伝染する死の病STBOを前に怯える男と、愛にときめく女。社会に対する不安を前に男女で異なる感情を抱かせる演出は『アネット』でそのまま引き継がれている。レオス・カラックスは、スカイダイビングで、愛の瞬間を描き、デビッド・ボウイの”Modern Love”をバックに有り余る感情の爆発を横移動で捉えるが、男の孤独や不安が付き纏う様を捉えている。その不安を包み込むテーマとしてフィルムノワールを用いる。内なる闇に吸い込むように、バッドエンドに向かっていく型を踏襲して紡いでいくのだ。
『汚れた血』も『ボーイ・ミーツ・ガール』、『ポンヌフの恋人』同様、死のアクションがギミックとしてあり、聖女が死にゆく彼を救うように現れている。男の証を焼き付けた、頬の血の構図は『アネット』で思わぬ引用として使われているので注目である。そして、やはり本作も男の孤独を癒す存在としての女性像が描かれており、カッコいい画が多い今の自分はそこまで称賛できる作品ではないと思った。
画や演出でいったら『ボーイ・ミーツ・ガール』、『ホーリー・モーターズ』の切れ味に及ばずといったところである。
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※MUBIより画像引用