『彼女のいない部屋』映画とはポラロイド写真でメンコするようなものさ

彼女のいない部屋(2021)
原題:Serre moi fort
英題:Hold Me Tight

監督:マチュー・アマルリック
出演:ヴィッキー・クリープス、アリエ・ワルトアルテ、Anne-Sophie Bowen-Chatet、Sacha Ardilly、ジュリエット・バンヴェニストetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

Bunkamura ル・シネマでマチュー・アマルリック新作『彼女のいない部屋』が公開されている。Filmarksのあらすじを読むと「家出をした女性の物語、のようだ。」とだけ書いてあり気になったので観に行きました。

『彼女のいない部屋』あらすじ

「007 慰めの報酬」などへの出演で国際的に知られ、「さすらいの女神たち」など監督としても活躍するフランスの俳優マチュー・アマルリックが監督・脚本を手がけた長編第4作。

本国フランスでの劇場公開前に明かされたストーリーは「家出をした女性の物語、のようだ」という1文のみで、物語の詳細は伏せらたており、主人公の女性クラリスを軸に、一見するとバラバラのピースがつなぎ合わさることで、ある真実にたどり着く。

2021年・第74回カンヌ国際映画祭の「カンヌ・プレミア部門」に選出。「ファントム・スレッド」「ベルイマン島にて」のビッキー・クリープスが主人公クラリスを演じ、「Girl ガール」のアリエ・ワルトアルテが共演。

映画.comより引用

映画とはポラロイド写真でメンコするようなものさ

これはマーケティングの映画といえる。

フランス公開時、「家出をした女性の物語、のようだ」とだけ提示され、ネタバレ厳禁と謳って、観客の得体の知れないものに対する好奇心を煽った。日本でも同様の宣伝がなされたのだが、蓋を開けてみれば、ネタバレも何もとっ散らかった映画という印象であった。とっ散らかった映画というマイナスのイメージを秘匿するための宣伝としか思えなかったところが痛い。

とはいえ、冒頭で本作の全体像をヴィジュアルで語る演出は印象的だ。ヴィッキー・クリープス演じる主人公がポラロイド写真を使って神経衰弱をするのだが、彼女自身が既に神経衰弱しているため、めんこのように写真をぶつけ合って、仕舞いにはぐちゃぐちゃと混ぜ合わせる。

映画はそんな彼女の記憶の断片を辿るように突き進んでいく。とある部屋を中心に、時間が繋がっていく。それは「過去」を記録する写真のような手触りで観る者に提示される。ヴォイスオーバーにより、写真を通じて過去へ没入する感覚を再現し、「家出をした女性の物語、のようだ」の行間を観客と共に埋めていく。断片による反復がくどい印象を受ける。60分ぐらいに短くした方が傑作になったと感じた。

※映画.comより画像引用