【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『木靴の樹』この世界の片隅に手を差し伸べる

木靴の樹(1978)
L’ALBERO DEGLI ZOCCOLI

監督:エルマンノ・オルミ
出演:ルイジ・オルナーギ、オマール・ブリニョッリ、ルチア・ペツォーリ、フランコ・ピレンガ、ロレンツォ・ペドローニetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載の『木靴の樹』を観ました。映画に嵌り始めた中学生の頃、『旅芸人の記録』とか『Z』とか『友だちのうちはどこ?』とかミニシアターアート映画を追っていたのですが、『木靴の樹』は中々遭遇できず結局観るタイミングを逃して10年近く経った。今回クリスマスプレゼントとしてブルーレイを買って観たのですが、これが観応えがありました。

『木靴の樹』あらすじ

イタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督が、1978年カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した名作ドラマ。「聖なる酔っぱらいの伝説」「偽りの晩餐」など後の作品でも高い評価を得るオルミ監督が世界で注目されるきっかけとなった作品でもあり、19世紀末の北イタリア、ベルガモの農村を舞台に、大地主の厳しい搾取のもとで貧しい生活を強いられながらも、大地とともに力強く生きる農夫たち4家族の生活が描かれる。小作人として農場に暮らすバティスティ一家を始め、6人の子を養うルンク未亡人、美しい娘マッダレーナのいるブルナ一家、けちで知られるフィナール一家は、土地や住居、農具などの全てを地主から借りて生計を立てていた。ある日、バティスティ家の息子ミネクの木靴が壊れてしまい、村から遠い学校へ通う息子のため、父親は川沿いのポプラの樹を切って新しい木靴を作ろうとするが、その樹もまた地主の所有物だった。ベルガモ地方出身のオルミ監督が、幼少期に祖母から聞いた昔話をもとにした物語で、出演者は全てベルガモの農民たちを起用した。日本では、79年に岩波ホールで劇場公開されてロングランヒットを記録。2016年、37年ぶりに同劇場でリバイバル上映。

映画.comより引用

この世界の片隅に手を差し伸べる

「死ぬまでに観たい映画1001本」の記事って基本的にライトで、モノによっては「コタツ記事かな?」と思うライトなものもあるのですが、たまに気合が入った文章がある。『木靴の樹』はまさしくそうで、観賞後に読んだら自分が思っていた部分と一致していて嬉しくなった。本作は、いわゆるネオ・リアリズモを意識した作品であり、貧しき農民の暮らしをドキュメンタリータッチで撮っている。そう聞くと、長回しを使っているのではと思うのだが、本作はカットを割り、次々と農民の姿を多角的に魅せていくことで、世界観にふくらみを与えている。

2/3を地主に取られてしまう村。働き手である子どもを学校に通わせなさいと神父にいわれ、困惑する父親に始まり、貧しい中にある淡い恋物語があり、かと思えば唐突に鶏の解体が挿入される。日常において、様々な感情やアクションが地続きにあることをこの映画は3時間かけて紡ぎ出す。本作がパルム・ドールを獲ったのも納得である。本作はこの世界の片隅に手を差し伸べることに特化しているので、視点がこれまた美しく、心に染みる。貧しい生活だが、町で祭が開かれると皆童心に返ったように遊ぶ。また、家の熱を使ってトマトを育てようとする何気ない生活の一部にも光を当てており、その美しさには感動を覚える。

若干、中盤あたりで退屈してしまった部分もあるが、エルマンノ・オルミのリアリズムを堪能し、明日の仕事頑張ろうと勇気づけられました。

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※映画.comより画像引用

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