機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021)
監督:村瀬修功
出演:小野賢章、上田麗奈、諏訪部順一、斉藤壮馬、古谷徹(蒼月昇)、津田健次郎、石川由依、落合福嗣、武内駿輔、松岡美里etc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
6月に日本公開されると、ガンダムファンだけでなく映画ファンからもカルト的支持を獲得した新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。残念ながら、公開当時劇場に駆けつけることができなかったのですがNETFLEXにて配信が始まったので遅ればせながら観てみました。ガンダムは劇場版1作目しか観ていないのですが、そんなニワカでもとても楽しい作品でした。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』あらすじ
「機動戦士ガンダム」の富野由悠季監督が1989~90年にかけて全3巻で出版した小説「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」をアニメーション映画化した3部作の第1部。アムロ・レイとシャア・アズナブルの最後の決戦を描いた映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」から12年後の宇宙世紀105年(U.C.0105)を舞台に、かつてアムロとシャアの戦いを見届けたハサウェイ・ノアが、腐敗した地球連邦政府に反旗を翻す姿を描く。「シャアの反乱」と呼ばれた第2次ネオ・ジオン戦争から12年。世界は変わらず混乱状態にあり、地球連邦政府は強制的に民間人を宇宙に連行する非人道的な「人狩り」を行っていた。そうした地球圏の腐敗した現状に、マフティー・ナビーユ・エリンと名乗る人物が率いる反連邦組織「マフティー」が立ち上がった。マフティーの正体は、かつて一年戦争にも参加した地球連邦軍士官ブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノアだったが、そんな彼の運命は、謎の少女ギギと連邦軍大佐ケネスとの出会いによって大きく変化していく。監督は「虐殺器官」の村瀬修功が務めた。
ハリウッドに求めるスパイアクションはコレだ!
私が幼い頃は『ダイ・ハード』や『エアフォース・ワン』、『エグゼクティブ・デシジョン』といった男臭いアクション映画を父親に観せられたものだ。細かい政治背景は全くわからなかったが、狭い空間での手汗握るアクションに胸躍らされたものです。しかしながら、最近のハリウッドアクション映画はどうだろうか?『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』、『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』などと、無闇に上映時間を伸ばして画としての魅力が失われてないだろうか?もっとテンポ良く描けるはずです。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は失われてしまったと思われるハリウッド映画の活劇文法を呼び覚ましてくれる作品であった。冒頭、官僚が乗った飛行機がハイジャックされる。屋根からテロリストが侵入し、狭い空間で銃撃戦が展開。その銃声を聞いたファーストクラスの官僚たちが怯え、その音の情報を頼りに行動に移そうか悩んでいるところを取り囲まれる。「マフティー」と名乗るテロリストの中にいるのは本物の「マフティー」のリーダーだ。彼は、急襲を切り抜ける。ハサウェイ・ノア、マフティー・ナビーユ・エリン二つの名を使い分け、ある種の亡霊として暗躍する彼。そんな彼の心をファムファタールであるギギが揺さぶりをかけていく。
正直、ガンダムマニアではないので、一度観ただけだと勢力関係と行動原理は分からなかったりするのだが、90分手際良く、アクションとそれにより変わりゆく戦局が観ていて面白い。
特に空間的視点の変更が素晴らしく、市街地戦では、ドッグファイトを繰り広げる場面と、ビルから脱出する場面、地上の人間から巨大な兵器の蹂躙を見た際の恐怖をシームレスに繋げることで、ドラマに立体感が生まれる。観る快感に包まれているといっても過言ではないでしょう。一方で、肝心なクライマックスのアクションではその切れ味が鈍化してしまい、ゴリ押しで暗い中モビルスーツ奪還するだけとなってしまったのは玉に瑕だ。
とはいえ、本作を劇場で観なかったのが勿体ないほど今年を代表とするアニメ作品であることには違いありません。
※映画.comより画像引用