クリプトズー(2021)
CRYPTOZOO
監督:ダッシュ・ショウ
出演:レイク・ベル、マイケル・セラ、エミリー・デイビス、アレックス・カルポスキー、ゾーイ・カザンetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
『ラビット・ホール』、『パーティで女の子に話しかけるには』とジョン・キャメロン・ミッチェル監督作でアートワークを手がけ、スクールカーストの転覆を風刺した『ボクの高校、海に沈む』で映画の才能を爆発させた漫画家ダッシュ・ショウ。彼の新作『CRYPTOZOO』が第71回ベルリン国際映画祭Generation(14plus competition)部門でスペシャル・メンションを獲得しました。
ダッシュ・ショウ監督は『ボクの高校、海に沈む』が大傑作だったので、新作を楽しみにしていたのですが、意外と早く観賞できたので感想書いていきます。
※第33回東京国際映画祭にて邦題『クリプトズー』で上映決定
『CRYPTOZOO』あらすじ
Cryptozookeepers try to capture a Baku, a dream-eating hybrid creature of legend, and start wondering if they should display these beasts or keep them hidden and unknown.
訳:Cryptozookeepersは、伝説の夢を食べるハイブリッド生物であるバクを捕獲しようとし、これらの獣を展示すべきか、それとも隠して知らないままにしておくべきかを考え始める。
天才!キメラどうぶつ園
アダムとイヴはヘビの唆しによって、善悪の知識の木の実を食べ、楽園から追い出された。ヒッピーのような男女は、超えてはならぬ一線であろうフェンスを越えてしまい、そこでユニコーンに出会う。ユニコーンを激昂させてしまったが為、男はユニコーンに殺傷され、女はそのユニコーンを撲殺し、罪を背負ってしまう。映画は、ロックバンドのアートワークのようにサイケデリックな空間の中に悪夢を所狭しと敷き詰めていく。
伝説の生き物・獏(バク)を巡る争奪戦を中心に物語は展開する。この映画の中では、メデューサをはじめとしたCryptidと呼ばれる奇形が存在しており、時に人間に捕獲され、飼育されている。軍人は理解できないものへの恐怖からCryptidを嫌っている。顔が胸についているCryptidを筆頭に、彼らは人間の暴力から逃れようと自分の居場所を探していたりする。
こうした軋轢の中、Cryptidを使った軍事ビジネスの影が迫りくる。獏(バク)の夢を吸引する能力が兵器として使われようとしているのだ。そして、映画はThe Human vs The Cryptidの血みどろな戦いへと発展していく。
『ボクの高校、海に沈む』では学校が物理的に海に沈むことで、沈没した学校から這い上がる行為がスクールカーストへの革命のメタファーとなっていた。今回は、人間とCryptidの軋轢を通じて、マイノリティの権利獲得の運動を捉えようとしている。
とはいっても、この手のテーマは既に『X-MEN』で描かれていることで、ストーリー面では『X-MEN』を超える真新しさはなかった。一方で、ドロドロに色彩と絵画ジャンルを横断していく、気持ち悪いヴィジュアルは圧倒的なものがあり、この唯一無二なヴィジュアルを観るだけでも価値があります。日本公開は果たしてするのでしょうか?
※imdbより画像引用