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『バーニング 劇場版』で描かれる《Great Hunger》に覚醒するジョンス

釜山国際映画祭で本作を観た時には、そこまで分からなかったのだが、映画版は《Little Hunger》から《Great Hunger》に豹変するジョンスを通じて、階級差が生み出す嫉妬と嫌悪の構造を緻密に描いていたことが見えてきました。

映画をじっくり観ていくと、どうもジョンスの父親は、本能的に暴力を振るうことがあり、それが原因で破滅したことが伺える。そして、ジョンスが家に飾ってある無数のナイフを見たり、ヘミの前で一生懸命感情を押し殺している様子を見ると、血に抗おうとしているように見える。

しかしながら、ベンの登場で、次々とジョンスの個性や大切なモノがベンの無意識の世界で搾取されていく。まず、博識さではベンもフォークナーを読み、そこへ女がやって来る様子を描くことで、ジョンスの心を折っていく。次にヘミをジョンスの世界から消し去る。よりによって「あなたの近くの温室をもう焼きましたよククク」と言いながら。映画版では、その後ベンは猫を飼い始めるのだ。貧しく空想上の猫でしか楽しめなかったジョンスの前に、実態を持った猫が現れるのだ。しかも、その猫すら失踪しようとする。次々と、女も知識も、心の豊かさも奪われていき、ジョンスはベンは嫉妬と憎悪からベンをストーカーするようになるのだが、彼に簡単に背後を取られてしまう。自分に残された希望は全て潰され絶望の淵に立たされたジョンスは、父親と同じように暴力でもってベンに勝とうとするのだ。

そしてクライマックスでは、ナイフでベンを刺し殺し、車ごと燃やす。温室を焼いたのはジョンスだったというオチがつく。裸で慟哭しながら寒空をかけるジョンスをエンディングにもって来ることで、貧しき者のどうにもできない気持ちを反映させているのだ。

最後に…

いかがでしたでしょうか。本作は無数にも謎が隠されているので、ブンブンは早く、『バーニング 映画版』とNHK版両方観た人とディスカッションをしたくてたまりません。また、ベン寄りな人物であろうバラク・オバマ前米国大統領が本作を評価していることに驚きを隠せないと同時に好感しか抱けない。やはりオバマさんは凄いんだなと改めて思いました。

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