モンスーン・ウェディング(2001)
MONSOON WEDDING(2001)
監督:ミーラー・ナーイル
出演:ナセールディン・シャー、リレット・デュベイ、
ヴァソンダラ・ダスetc
評価:60点
ヴェネチア国際映画祭のコンペリストが発表されたということで、かつて金獅子賞を受賞したインド映画を観てみた。
『モンスーン・ウェディング』あらすじ
テレビ局に勤める女性アディティの結婚式の準備が着々と進められていた。しかし、彼女は父の縁談を快諾したのであって、本当は好きな人がいる。次第に親戚が集まり、ムードが高まっていくのだが、アディティの心は揺らぎっぱなしで…インド文化入門映画
監督は『サラーム・ボンベイ!』のミーラー・ナーイル。インドの伝統的な結婚を描いている。父のお見合いにより、結婚相手を決められてしまった娘。父に逆らえず、結婚を承諾する。結婚式前になると、親戚が集まり、豪華絢爛な式典が用意されるが、娘は父の相手を選ぶか、本当に愛する人を選ぶか悩む。膨大な人数のキャラクターの会話から滲み出てくる、伝統に対する皮肉が込められている。今やグローバル化し、恋愛も多様化。カーストや家父長制の枠なんかとうに壊れている。伝統はアップデートすべきなのに、そこに囚われてしまい、本来「パートナーと新しい人生の一歩を踏み出す後押しする場」としての結婚式が、家族親戚の自己満足に成り果ててしまっている。正直、カルチャー紹介映画の域を出ない凡庸な作品ではあったのだが、「結婚式」の本質に気づかせてくれる作品でした。
おまけ:第57回ヴェネチア国際映画祭コンペティション作品一覧
・アザーズ(アレハンドロ・アメナーバル)
・Quem És Tu?(ジョアン・ボテリョ)
・赤い月の夜(アントニオ・カプアーノ)
・ハリウッド★ホンコン(フルーツ・チャン)
・BULLY ブリー(ラリー・クラーク)
・天国の口、終りの楽園。(アルフォンソ・キュアロン)
・白と黒の恋人たち(フィリップ・ガレル)
・エデン(アモス・ギタイ)
・受取人不明(キム・ギドク)
・ウェイキング・ライフ(リチャード・リンクレイター)
・ナビゲーター ある鉄道員の物語(ケン・ローチ)
・モンスーン・ウェディング(ミーラー・ナーイル)
・How Harry Became a Tree(ゴラン・バスカリェーヴィチ)
・1票のラブレター(ババク・パヤミ)
・愛の勝利(クレア・ペプロー)
・ぼくの瞳の光(ジュゼッペ・ピッチョーニ)
・Dupa-amiaza unui tortionar(ルシアン・ピンティリエ)
・ビハインド・ザ・サン(ウォルター・サレス)
・ドッグ・デイズ(ウルリヒ・ザイドル)
・Loin(アンドレ・テシネ)
こうラインナップをみると、この年は不作だったが故に本作が最高賞を受賞したのではと思う。個人的に、アルフォンソ・キュアロンの『天国の口、終りの楽園。』かウルリヒ・ザイドルの『ドッグ・デイズ』(こちらは未見なので雰囲気判断)が最高賞に相応しいのではと思った。
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