君が君で君だ(2018)
監督:松居大悟
出演:池松壮亮、キム・コッピ、満島真之介、
大倉孝二、向井理、YOU etc
評価:40点
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない
』のついでにと朝からタイトルに導かれて観たのだが、スコリモフスキの『早春
』、『アンナと過ごした4日間』の100倍異常な恋愛映画だった。いくらインディーズ日本映画界の鬼才・松居大悟監督作とはいえ、「何を食べたらあんな物語作れるんだい?」と不安になる程の異常性欲ビンビン映画だった。
『君が君で君だ』あらすじ
韓国人のカラオケ店員に一目惚れした男3人。彼らは薄暗いアパートの一室から、彼女を毎日監視し続けて10年が経とうとしていた。それぞれ、尾崎豊、ブラッド・ピット、坂本龍馬と彼女が好きな存在になりきり今日も彼女の私生活を覗いていたのだが、ヤクザにそのことがバレ、部屋に侵入されてしまう…松居大悟の体調を心配したくなる怪作
特に調べず観に行ったら、あまりの常軌を逸した世界観に阿鼻叫喚した。
なんたって、韓国人のカラオケ店員に恋した3人の男が、彼女の好きな《尾崎豊》《ブラッド・ピット》《坂本龍馬》になりきり、向かいの部屋から10年間も監視するという話なのだから。しかも、彼らの生活の異常性はいくら映画とは言えドン引きレベル。中東か!と思う程多い礼拝タイム。彼女が飯を食う、トイレをすると彼らも飯を食い、トイレをするのだ。彼女がどこに何をしまっているのかまで把握している。しまいには、監視部屋を《国》に見立て、入国審査があり、《坂本龍馬》は何故か鎖で繋がれているのだ。坂本龍馬と言えば、ブンブンニコニコ動画のゲーム実況者幕末志士の坂本龍馬を思い浮かべる。彼も本作同様、人生拗らせている方だが、その比ではないことは明白だ。
松居大悟の何か思い詰めたキモチが炸裂したのだろう。映画としては、あまりにも雑。尾崎豊やブラッド・ピット、坂本龍馬といった要素が活きていない(途中に出てくる第四勢力も微妙な使われ方だ)し、回想がくどく、回想に頼りすぎだ。しかも、ラストは、「なんでお前が主役の座を奪っているんだい?」となる。ギャグも細かすぎて、また《間》を軽視しているので、ゴールになかなか決まらない(例えば、入国する時のドアノックが「はじめてのアコム」のリズムだったりするのだが、上手く回収できてない)。
しかし、なんなんだろう、この清々しいまでの真っ直ぐな青春。映画としてはダメダメだが、嫌いにはなれない。カルト的やみつき感があり、なんだか好感を抱いてしまったのでした。本作は、あまり情報を入れないで観てほしい。また、観てもネタバレ解説・考察記事を書きたいと思うほどの内容ではないのでここで終わるが、間違いなく今年最強のカルト映画だと言えよう。
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