『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』ライバール元市長は《シラート》を渡りたい

パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー(2026)
PAW Patrol: The Dino Movie

監督:カル・ブランカー

評価:75点


おはようございます、チェ・ブンブンです。

2026年は恐竜映画が熱い!

ベトナム戦争下のジャングルに恐竜が大集結する『プリミティヴ・ウォー 恐竜戦争』、デビッド・ロバート・ミッチェルが手掛けたサバービアがジュラシックワールドと結合する『オークストリートの異変』はXで盛り上がっている。しかし、お忘れではないだろうか?

もう一本、この夏、恐竜映画が潜んでいることに。

それは『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』だ。

パウ・パトロールとは、2013年よりニコロオデオンにて放送されている幼児向けアニメであり、日本でもテレビ東京で放送されている。犬のレスキュー隊パウ・パトロールが、デデデ大王さながらの暴挙を働くライバール市長の邪魔を搔い潜りながら、専用マシンに乗り込み人助けを行うといったのが主な筋である。幼児向けアニメといえばアンパンマンのイメージが強いのだが、割と今の主流はパウ・パトロールらしくて、子育て世代の方と話をする際にタイトルを耳にする。シリーズ3作目が『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』とバッティングする形での公開となったが、人気は健在であり休日の劇場は8割近く埋まっており、子どもたちがキャッキャしながらパウ・パトロールたちの活躍を見守っていた。

子ども映画ハンターとして、私も劇場へ駆けつけた。

『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』あらすじ

「パウパト」の愛称で親しまれる、北米発の人気子ども向けアニメ「パウ・パトロール」の劇場版シリーズ第3弾。主人公の少年ケントと個性豊かな子犬たちからなる「パウ・パトロール」が、心優しい恐竜たちが暮らすダイノ・アイランドのピンチを救うため奮闘する姿を描く。

恐竜たちが暮らす島、ダイノ・アイランド。その島にあるダイヤモンドを狙うライバール市長は、発掘のためにダイナマイトを使って大爆破を引き起こす。その影響で島の火山が噴火し、恐竜たちは絶体絶命のピンチに陥ってしまう。

吹き替え版声優は、ケント役に潘めぐみ、チェイス役に石上静香、マーシャル役に小市眞琴、スカイ役に井澤詩織、ラブル役に松田颯水、ロッキー役に小堀幸、ズーマ役に矢作紗友里と、これまでのシリーズおなじみの声優陣がそろう。そのほか、大島優子、お笑いコンビ「レインボー」のジャンボたかお&池田直人がゲスト声優出演。主題歌は「バックストリート・ボーイズ」の書き下ろし新曲「Bottle Up」。

映画.comより引用

ライバール元市長は《シラート》を渡りたい

本作は、いつも通り火力マシマシの大災害から始まる。セレブがプレジャーボートで休暇を謳歌している。だが、飼い猫が魚を取ろうとした時に、火器を倒してしまい大炎上する。

パウ・パトロールは持ち前のチームワークで、上空、水上から救助を行う。セレブファミリーを安全に救命ボートへ避難させたと思ったら、飼い猫が取り残されている。隊員の一人が船の中へ入るのだが、『バックドラフト』よろしく、すぐそこにある死との宙吊りの中、間一髪救助に成功する。

今回は恐竜の島へ漂流したパウ・パトロールが、ノンバーバルコミュニケーションを通じて恐竜たちと親密な関係性になる中で次々とアクシデントが発生するものとなる。

映画シリーズでは毎回、主役となる隊員がおり、その隊員が役割を果たせないことによるアイデンティティクライシスを大きな困難との対峙でもって乗り越えていく。本作では消防車担当のマーシャルが軸となっている。

出所したライバール元市長が恐竜島のレアメタルを採取しに『恐怖の報酬』さながらの冒険に出るサブストーリーが並走しているのだが、その過程でとある恐竜が事故に巻き込まれてしまう(この状況が類似作『シラート』のあのシーンさながらで笑う)。その救助の際に、恐ろしい二次被害が発生する。死傷者はでなかったものの、責任感の強いマーシャルは罪悪感に押しつぶされそうになる。

過去2作に比べるとこの状況における責任者ケントのシビア過ぎる選択こそないのだが、代わりにトラウマになるであろう凄惨な事故を丁寧に描写する。やがて、ライバール元市長のレアメタル採取のためにある行動を取り、そのせいで島が滅亡の危機に瀕する。追い込まれる恐竜、調査員、そしてパウ・パトロールを前にマーシャルは新しい相棒と力を合わせて作戦を敢行する。

この描写は過去一、宙吊りのサスペンスとして死が近いものとなっている。常に、死の危機が迫っており、あと一歩のところで回避する。死んだかと思うほどに痛そうな落下、静止、そしてリザレクション。このカタルシスは子ども向け映画とは思えない強烈なものであった。