パストライブス/再会(2023)
PAST LIVES
監督:セリーヌ・ソング
出演:グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ、Moon Seung-ah、Seung Min Yim etc
評価:10点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第73回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で話題となったA24映画『PAST LIVES』を観た。A24は『フェアウェル』や『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』などアジア人俳優を起用した作品に注目している。本作も、その流れにありアカデミー賞を狙っているような気配も感じたが、蓋を開けてみたら驚くほどつまらなかった。
『PAST LIVES』あらすじ
Nora and Hae Sung, two deeply connected childhood friends, are wrested apart after Nora’s family emigrates from South Korea. Twenty years later, they are reunited for one fateful week as they confront notions of love and destiny.
訳:深い絆で結ばれた幼なじみのノラとヘソンは、ノラの家族が韓国から移住してきたことで引き裂かれる。20年後、彼らは運命的な1週間だけ再会し、愛と運命の概念に立ち向かう。
いくらなんでも安直すぎでは?
韓国に暮らす幼馴染のナヨンとヘソン。ロボットや独特な石像の前で遊ぶ二人。しかし、二手に分かれる階段が人生を決めてしまう。それから何年かが経ち兵役を終え、韓国の居酒屋で飲んだくれているヘソン、それに対してアメリカでノラとして生きるナヨン。二人はヒョこんなことから再会する。韓国人としてのアイデンティティを抑圧しアメリカ人として生きていこうとする彼女と、韓国人としてのアイデンティティのまま、そしてかつての彼女との思い出に囚われた男がやがてバーで刹那の親密さを生み出していく話なのだが、心理的距離の縮まりををPCからバーに映す表現は安易に感じた。そして『ブルックリン』のようなアイデンティティの揺らぎ的話を期待していたのだが、これも薄味であり、物語のキーとなるアメリカ人の男が上手く機能していないように思えた。そして何よりも、画が異様に退屈なものとなっており、韓国パートのロケーションの良さはあれど、あとはひたすら退屈なアップや空間構図が続いていたように感じた。『フェアウェル』や『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の二匹目のどじょうを狙おうとしていただけの作品であった。
※IMDbより画像引用