【アマプラ】『決闘高田の馬場』乱闘に参加するもガン無視される男

決闘高田の馬場(1952)

監督:マキノ雅弘、稲垣浩
出演:阪東妻三郎、市川百々之助、原駒子、伊庭駿三郎etc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

Amazon Prime Videoで日本映画を漁っている。今回は『決闘高田の馬場』を見つけたので観てみた。

『決闘高田の馬場』あらすじ

腕は確かだが、飲兵衛で喧嘩に明け暮れていた中山安兵衛。その安兵衛の苦手とする叔父の菅野六郎左衛門が、村上庄左衛門とのトラブルから、高田の馬場で果し合いをすることになってしまう。危急を知った安兵衛、一散に駈けつける。後の堀部安兵衛一世一代の剣陣の火ぶたは切られた!

Amazon Prime Videoより引用

乱闘に参加するもガン無視される男

昔の日本映画は録音の関係かとても聞き取りづらいものがある。案の定、本作も基本的に何を言っているのかは分かりづらいのだが、そのキツさをカバーするように面白い群れアクションが展開されている。特に序盤の乱闘場面は素晴らしい。乱闘が行われている空間に男が現れる。酔っ払いのような動きをしながらも、多くの敵を相手にしようと意気込んでいるが、群れは華麗に彼を避けていく。結局誰にも相手にされないのである。この乱闘シーンでは洗練された動きではなく、泥臭い動き、素人っぽい動きが散りばめられており、それがリアリズムを生み出している。そんな中に、喧嘩に参加できない主人公を配置することで、映画の運動としてバシッと決まる。この独特な美学に引き込まれた。そして日常パートも主人公に対して群れが近づいては離れたりを繰り返す。彼の思惑を群衆は裏切っていくような形を取る。それはある意味、思い通りにならない人生の波を象徴しているようなもので、だからこそ終盤の戦いが引き締まったものに見える。短い時間ながらも、人間の動きと人生とを結びつけたくなる一本であった。

※日活より画像引用