リトル・チルドレン(2006)
LITTLE CHILDREN
監督:トッド・フィールド
出演:ケイト・ウィンスレット、パトリック・ウィルソン、ジェニファー・コネリー、ジャッキー・アール・ヘイリーetc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
今話題の映画『TAR/ター』。監督のトッド・フィールドは寡作ながらユニークな映画を作っていると聞いたので、『リトル・チルドレン』を観た。日本のポスターヴィジュアルを観る限り退屈な官能映画のイメージがあるのだが、実際には思ったのと異なる作品であった。
『リトル・チルドレン』あらすじ
「イン・ザ・ベッドルーム」のトッド・フィールド監督が、トム・ペロッタのベストセラー小説を映画化した人間ドラマ。郊外の住宅街を舞台に、何ひとつ不自由ない暮らしを送りながらも別の人生を夢見る“大人になれない大人たち”の日常をシニカルに綴る。「タイタニック」のケイト・ウィンスレットが不倫に溺れる主婦を体当たりで演じる。共演はパトリック・ウィルソン、ジェニファー・コネリー、ジャッキー・アール・ヘイリーほか。
属性を定められる郊外にて
本作ではアメリカ「郊外」の特性を利用した作劇となっている。郊外に住む中産階級の人々は、家庭を持ち何気ない日常を過ごしている。しかし、その普通の生活は退屈さを引き起こす。人々は、何年も前の人間関係。それこそ、高校時代のプロム・キングに対して「プロム・キング」のイメージを持って妄想を膨らませる。他者を過去に押し込み、噂や妄想を近隣住民と共有することで退屈さを紛らわせているのだ。村社会的監視の眼差しの中で、本作の人々は狂い出す。刺激を求めて不倫を始めたり、司法試験の勉強するふりをしながら、スケボー集団と仲良くなろうとしたりするのだ。なので、エロが売りの映画というよりかは、郊外に蔓延る閉塞感を観察するタイプの作品と癒える。そして、本作は何よりもコメディである。例えば、女の眼差しが注がれる中で元プロム・キングと接吻をする。すると、女たちが蜘蛛の子を散らすように「帰るわよ」と子どもを連れて去っていく。この光景は滑稽であった。また、子ども用プールに怪しいおじさんが侵入し、母親たちが「みんな逃げて」と叫びパニックになる場面もユニークであった。全体的に群れを離散させる中で笑いを誘う演出に光るものがあった。「サバービアの憂鬱」を読んだ上で鑑賞すると新しい発見がある作品である。
※映画.comより画像引用