【カンヌ国際映画祭特集】『Father and Sons』ずっと部屋で引きこもり

Father and Sons(2014)

監督:ワン・ビン

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第76回カンヌ国際映画祭でワン・ビンのドキュメンタリーが2本上映される。それに併せて彼の過去作『Father and Sons』を観た。

『Father and Sons』あらすじ

In 2011, Cai took his two sons to his workplace, a factory in Fuming, where he worked as a stone caster, and found a school for them. Ever since, they have been living in a hut owned by the factory, with only one bed. We received threats from the boss and had to stop filming.
訳:2011年、蔡さんは2人の息子を連れて、彼が石工として働いていた職場であるフーミンの工場に行き、彼らのための学校を探しました。それ以来、工場が所有するベッド1つしかない小屋で暮らしている。上司から脅迫を受け、撮影を中止せざるを得なかった。

MUBIより引用

ずっと部屋で引きこもり

『三姉妹 雲南の子』でワン・ビンはとある親子と知り合い、カメラを回すことになった。狭い空間に父親と2人の息子が住んでいる。父親は仕事で出かけるが、息子たちは一日中、部屋に引きこもり、携帯電話をいじったりテレビを見たりしながら虚無の時間を過ごす。本作はほとんど定点でその様子を捉えていく。この手法自体は、『原油』でも使われている。『原油』では、労働者がテレビを観る様子を1時間以上定点で捉えていた。映画を観る者にはテレビの画面が映らないので、ひたすら人を見ることになる。こちらは、大人を捉えていたのに対して『Father and Sons』では子どもを捉えているので、観ていると精神的に来るものがある。部屋は意外にも明るいが、それだけに事態の闇深さが際立つのだ。 ミニマルな作品ながらも強烈な作品であった。

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※MUBIより画像引用

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