【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『クワイエット・アース』ある日、ひとりぼっちになった俺

クワイエット・アース(1985)
THE QUIET EARTH

監督:ジョフ・マーフィ
出演:ブルーノ・ローレンス、アリソン・ルートレッジ、ピート・スミス、アンザック・ウォレス、ノーマン・フレッチャー、トム・ハイドetc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載のSF映画『クワイエット・ルーム』を観た。

『クワイエット・アース』あらすじ

画期的な地球規模のエネルギー電送実験フラッシュ・ライト計画。それによって人類及びすべての生物は滅び、唯一の生き残りの科学者ザックは孤独と絶望に苦しんでいた。そこへ一組の男女が現れ、奇妙な三角関係が始まるが……。珍しいニュージーランド製の近未来SF映画。

ナタリーより引用

ある日、ひとりぼっちになった俺

ある日、目が覚めたら地球に自分しかいなくなったらどうしますか?本作は1985年の映画なため、SNSが存在していない。なので、じっくり時間をかけて人類の不在を描いていく。その描写が興味深い。朝、男が起きる。電話をかけるが通じない。神の目である映画の眼差しは、がらんとした受付を映し出す。男は車を運転し、ガソリンスタンドへ行くが、そこにも店員はもちろん動物の気配すらない。トイレを確認する。ロックがかかっている。ひょっとしているのでは?と下から覗くが、誰もいない。やがて、飛行機の墜落現場にたどり着く。少し鎮火の兆候をみせる飛行機の中を確認すると人がいないのだ。このように、調査を通じて人類の不在を描いていくプロセスがとても面白い。やがて、彼は巨大なアンテナのある基地に行く。そこで、研究室が閉鎖される緊急事態が発生し、研究所を爆破する必要が出てくるのだが、なかなか仕掛けた装置が爆発しないところに妙なリアルさもある。そして、この手の映画で観客が期待するのは、主人公が遊びまくる場面だろう。ショッピングセンターで列車の模型に目をキラキラさせると、次のカットでは実際の列車を操縦している。『ハスラー』と思しきビリヤード映画のモノマネを、神の目であるカメラの眼差しを頼り巧みにやってのけた後、ハリボテの偉人ボードと音声機材を繋いで一人スペクタクルを展開する様には欲望の避雷針としての映画像を熟知したものがあり感動させられた。

一方で、途中に生存者である女と男が現れて奇妙な三角関係に発展するのだが、ラブコメが結ばれてしまうとつまらなくなってしまうのと同様の退屈さを感じてしまった。もっと静かなる地球で一人で暴れてほしかった。ブルーノ・ローレンスの一人芝居をずっと観ていたかったと思ってしまった。

※MUBIより画像引用

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