『Tilva Roš』廃墟で、青春の終着駅で

Tilva Roš(2010)
Tilva Rosh

監督:Nikola Lezaic
出演:Marko Todorovic,Stefan Djordjevic,Dunja Kovacevic etc

評価:90点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

セルビアの青春映画『Tilva Roš』を見つけたので観てみました。

『Tilva Roš』あらすじ

Bor, Serbia, once the largest copper mine, now just the biggest hole in Europe. Small union protests are going on. Toda and Stefan are best friends, skaters, who spend their first summer after finishing high school. Stefan’s going to Belgrade to the University in fall. Toda says he wouldn’t apply to the University even if he had the money. They spend time shooting “Jackass-like” videos and hanging out with Dunja, who came back from France for her holidays, and get into a quiet battle for her attention. In that strange relationship of dying friendship and rivalry they try to get ahead of each other. But when small union protest evolves into a huge riot their destructiveness will tie them together.
訳:セルビアのボル、かつては最大の銅山だったが、今はヨーロッパで最大の穴が開いているだけだ。小さな労働組合の抗議運動が起きている。戸田とステファンは親友のスケーターで、高校を卒業して初めての夏を過ごす。ステファンは秋からベオグラードの大学へ行く。戸田は「お金があっても大学には行かない」と言う。二人は「ジャッカス的」なビデオを撮ったり、フランスから休暇で帰ってきたドゥーニャとつるんで、彼女の気を引くために静かなバトルを繰り広げたりして過ごす。死にかけの友情とライバル心、その奇妙な関係の中で、彼らは互いに先手を打とうとする。しかし、小さな組合の抗議が大きな暴動に発展したとき、彼らの破壊力は彼らを結びつけることになる。

※IMDbより引用

廃墟で、青春の終着駅で

鉱山民営化で、大人たちは対立している。しかし、高校を卒業しモラトリアムに生きる若者にとってそれはどこか他人事だ。廃墟でスケートボードで遊び、「ジャッカス」のような動画を撮る。YouTuberのように誰かに魅せて収益化するわけでもない。ただ、自由な時間の中で暇を潰すのだ。しかし、大学に行く/行かないと人生の分岐点に差し掛かっているのは確か。ゆっくりと、それぞれの人生の道を歩み出す。このじっくりと人生の道が枝分かれしていく輝ける青春の終わりと始まりの瞬間が眩い。クラブで暴れて、オーナーと喧嘩したり、スーパーにヌルッとスケートボードで侵入し自由に遊ぶ。でもやがて就職しないといけないし、大人たちの対立も他人事から自分事へと変わっていく。くだらない動画を撮っていたような日々も終わりに差し掛かっていく。本作は、撮影がとても美しく、遊び場としての廃墟をロケーションに選んだ時点でこの映画が傑作であるのは揺るぎない。ちょっと、高校、大学時代を思い出して感傷的になったのであった。

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