【アフリカ映画】『アフリカン・カンフー・ナチス』ヒトラーと東條英機がガーナで大暴れ!

アフリカン・カンフー・ナチス(2019)
African Kung-Fu Nazis

監督:Sebastian Stein
出演:Elisha Okyere、Kwaku Adu、ヨシト・アキモトetc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

最近は新作映画で観たいものが少ないのでアフリカやインドの謎映画掘りに精を出しています。一時期話題となっていたヒトラーと東條英機がガーナでカンフーをするZ級映画『アフリカン・カンフー・ナチス』がAmazon Prime Videoでレンタル配信されていたので観てみました。意外なことにアクションがしっかりしていた作品でした。

『アフリカン・カンフー・ナチス』あらすじ

Unlike history books tell us, Adolf Hitler did not commit suicide in his bunker, but instead fled to the African continent in his submarine. Teaming up with his new right hand, infamous Japanese military leader Hideki Tojo and the brutal Horse-Man Göring, he plans on conquering the world once again – starting in Ghana. With the might of his loyal (although brainwashed) Ghan-Aryans and his superhuman Karate-Powers, Hitler destroys the African Kung-Fu school of the shadow snake, killing its leader. Grieving for his master, Kung-Fu disciple Addae seeks revenge by participating in Hitler’s martial arts tournament. Will he find the strength of body and mind to defeat the evil dictator?

訳:歴史書に書かれているのとは違い、アドルフ・ヒトラーは地下壕で自殺したのではなく、潜水艦に乗ってアフリカ大陸に逃亡した。彼の新しい右腕、悪名高い日本の軍事指導者である東條英機と残忍な馬術師ゲーリングと手を組み、彼は再び世界を征服することを計画しています-ガーナから始まります。彼の忠実な(しかし洗脳された)ガーナ-アーリア人と彼の超人的な空手力の力で、ヒトラーはリーダーを殺し、影の蛇のアフリカのカンフー学校を破壊する。彼のマスターのために悲嘆に暮れ、カンフー弟子アッダエは、ヒトラーの武術大会に参加することによって復讐を求めています。彼は悪の独裁者を倒すために、心身の強さを見つけることができるのだろうか?

※imdbより引用

ヒトラーと東條英機がガーナで大暴れ!

Z級映画はヒトラーが大好きだ。昔からヒトラーは狂人キャラとして擦り倒されて来た。そんなヒトラーは遂にガーナへと入国する。お友達の東條英機を引き連れて。折角、日独伊三国同盟があるのだからイタリアからも刺客を用意した方がよかったのでは?と思いつつもスタッフの都合で、ヒトラーと東條英機のみがガーナに入国し日独加三国同盟を結ぼうとする話となっている。それはしょうがないことである。

さて、ガーナアーリア人補完計画を進めるヒトラーと東條英機の横で、現地の空手稽古場が映し出される。遅刻してきた男が、罰を受けている中「今日の稽古の結果を見て試合出る人を選抜するぞ」とマスターが語り稽古が始まるのだが、そこで映し出されるものが本格的だ。イップマンシリーズで登場する、木の柱を使った練習に、瓦割りといったものをスタイリッシュなカット捌きで描く。当の遅刻してきた男に対する罰もジャッキー・チェン映画やショウ・ブラザーズ映画でよく見かけるものだったりする。後半になると、酔拳を学ぶシーンがあったりと稽古のバリエーションが豊かなのである。想像で描かれるなんちゃって空手映画とは趣きが異なる。この手の映画を十二分に研究した形跡があるのだ。それだけに映画全体から漂う、自主制作のポンコツ感との不協和音が凄い。

何を隠そう、東條英機を演じたヨシト・アキモトの演技が棒読みなのだ。初出演なのだろう。玉音放送のような重々しい声で演説をするのだが、大根演技をひた隠しにしているだけで滑稽だ。しかも、彼は拳にエネルギーを溜めて昇竜拳を撃てる設定。設定負けしている演技が微笑ましいのだ。ふと、彼の演技を観て、これぞ現代の「闇の奥」だと感じました。

未開の地で、教祖のようになる。誰も彼の行動を止めるものがおらず神聖化する感じ。普通の映画だったら、再撮影になりそうな棒読みがこうしてAmazon Prime Videoで配信されているところに「闇の奥」を感じました。

ガーナは昨年観た『KETEKE』を含め、トリッキーな映画が埋まっている金脈かもしれない。中々遭遇しない国ですが積極的に追っていきたいところである。

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※imdbより画像引用

 

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