【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『戦艦バウンティ号の叛乱』マイルドな蟹工船されど鬼畜

戦艦バウンティ号の叛乱(1935)
MUTINY ON THE BOUNTY

監督:フランク・ロイド
出演:チャールズ・ロートン、クラーク・ゲイブル、フランチョット・トーン、ハーバート・マンディンetc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第8回アカデミー賞作品賞はレベルが高かったらしく『海賊ブラッド』、『トップ・ハット』、『戦艦バウンティ号の叛乱』の3本が「死ぬまでに観たい映画1001本」に選出されている。今回はその1本『戦艦バウンティ号の叛乱』について書いていきます。本作は実際に起きた事件をチャールズ・ノードホフとジェームズ・ノーマン・ホールが小説化した作品で5度も映画化されている。マーロン・ブランドvs.トレヴァー・ハワード版、メル・ギブソンvs.アンソニー・ホプキンス版がありますが、今回の対象はクラーク・ゲーブルvs.チャールズ・ロートン版である。

『戦艦バウンティ号の叛乱』あらすじ


First mate Fletcher Christian leads a revolt against his sadistic commander, Captain Bligh, in this classic seafaring adventure, based on the real-life 1788 mutiny.
訳:一等航海士のフレッチャー・クリスチャンは、サディスティックな司令官であるキャプテン・ブリーに反乱を起こし、1788年の反乱の実話に基づいた古典的な海の冒険を展開します。
imdbより引用

マイルドな蟹工船されど鬼畜

暴力と飢餓に支配された労働環境に怒りを募らせた船員たちが反乱を起こすというプロットは小林多喜二の「蟹工船」そのものであるが、ひたすら絶望を突きつけてくる「蟹工船」と比べると大分マシだろう。とはいっても戦艦バウンティ号の労働環境がブラック企業であることに変わりはない。いきなり酒場に乗り込んできて、「お前も船員にならないか?」と強引に戦艦バウンティ号の乗組員にさせられた人が目撃するのは飴を与えず鞭だけを与える暴君であった。何かにつけて鞭打ち24回を言い渡し、暴力で死んだ人に対しても「ルールだから」と公開鞭打ちをする様子に船員同様観る者もドン引きするだろう。さらには嵐吹き荒れる中、組織の悪口を言っていた船員をマストに昇らせたりひたすら暴力を突きつけていく。そして、食料の心配が出てくると船長ウィリアム・ブライ(チャールズ・ロートン)は豪勢な食事をしておきながら、部下には腐った肉しか与えなくなる。そんな強烈な内容を軍歌チックな勇ましい音楽で彩る。そして南の島に行くと、強烈な旅と対象的な楽園像を提示するのでより一層ブラック企業感が増します。厳しい労働に耐えれば夢の果実にありつける。そんな希望を魅せてくるからこの映画は怖いのだ。やがて、船員たちはクリスチャン(クラーク・ゲイブル)を中心に反乱を起こし、ブライを荒海に流す。しかし、ブライは無頼、悪い奴ほどしぶとく生き残る者。生存したブライはクリスチャンを処刑するため躍起になるのだ。

本作は1935年の話にもかかわらずブラック企業の嫌なところが詰まりに詰まった怪作だ。当時のカメラは非常に大きかったにもかかわらず、嵐の中荒々しい海の中撮影された映像は圧巻でありアカデミー賞作品賞受賞も納得である。映画自体は希望持った終わり方しているのだが、実際には権力に潰されたり、業界の沈黙によって傷を追った者の痛みは風化してしまう。せめて、この映画の凄さは風化させてはいけないと感じました。

※imdbより画像引用

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