サウナのあるところ(2010)
原題:Miesten vuoro
英題:Steam of Life
監督:ヨーナス・バリヘル、ミカ・ホタカイネン
評価:30点
アップリンクで既に上映されているのだが、山形国際ドキュメンタリー映画祭のサウナイベントを全力で楽しみたいと思い、映画祭まで取っておきました。
山形国際ドキュメンタリー映画祭では、《フィンランドサウナ × 映画》と称し、市民会館で特設サウナが作られていました。
テント型の服のまま入れるサウナがありました。木々の癒しの香りが会場まで漂い、また寒い山形でもほんのり温まることができる代物でした。小説家の朝井リョウは大学時代にサウナを学祭でやろうとしてお蔵入りしたそうですが、これなら実現できそうですね。
さて、山形のシネコン《ソラリス》で『サウナのあるところ』観てきたので感想を書いていきます。
『サウナのあるところ』あらすじ
サウナの本場といわれるフィンランドのサウナ事情とそこに集う人々を記録した異色ドキュメンタリー。自宅やオフィスなどのプライベートなサウナから、湖畔や街なかの公衆サウナまで、約550万人の人口に対して約300万個のサウナがあるという北欧の国フィンランド。身も心も裸になれるサウナという場所は、シャイで寡黙と言われるフィンランド人男性たちのさまざまな思いが語られる場所でもあった。継父からの虐待、犯罪歴のあるかつての自分、離ればなれになってしまった娘、止められなかった職場での事故、先に旅立った妻や幼い娘の思い出など、普段は話すことがない悩みや苦しみ。子どもが生まれた喜び、親友との友情、老いてからの出会い、祖父が薪に込めていた祖母への愛など、大切な人への思いの数々。男たちが普段は決して語ることのないさまざまな思いがサウナという空間で語られ、男たちの絆を深めていく。
※映画.comより引用
これぞ本場の《サ道》だ!
ブンブンは、大学時代北欧研究会NORDICに所属しており、卒業旅行でフィンランドのローカルサウナKotiharjun Sauna Oyに行ったことがあります。フィンランド人にとってサウナは癒しの効果の他に、社交場という意味合いも強く、このローカルサウナではおっさんが、仕事の悩みや家族のことを延々と話し合っていた記憶があります。ちなみに、Kotiharjun Sauna Oyでは入り口にリクライニングチェアが置いてあり、おっさんが10月だというのにサウナから出て裸で寝そべっていました。
さて、本ドキュメンタリーはKotiharjun Sauna Oyを始め、色んなタイプのサウナが出てきます。キャンピングカータイプ、公衆電話タイプ、公衆浴場と一体化したものetc
そういったフィンランドのサウナ文化の一面を魅せてくれるのですが、もう一つの側面に映画は力点を置いています。それは懺悔室の機能としてのサウナであります。ここに登場する男たちは、皆心に闇を抱えており、それを吐露していく。娘を亡くしてしまった男は、自分がその時に立ち会えなかったことを後悔している。また別の男は幼少期の辛い思いを吐き出す。なのでやれ《サ道》だ、アベンジャーズ風呂(上野・寿湯で開催)だ、『ヘルボーイ』サウナ試写会だ!とお祭り機能としてサウナが盛り上がっている日本で今観ると肩透かしを食らってしまうことでしょう。そうでなくても、本作は面白サウナを紹介したいのか、サウナにおける社会学を展開したいのかの軸がぶれており、また歌のシーンなど余計な場面も多かったので、そこまで乗れませんでした。
P.S.大きなイチモツが映っているせいか、本作はR15指定でした。驚き!
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