ドラマ版『宮本から君へ』今日が終わる いや今が終わる そう思えた奴から明日が変わる

(ドラマ版)宮本から君へ

監督:真利子哲也
出演:池松壮亮、柄本時生、星田英利、蒼井優、松山ケンイチetc

評価:85点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

今、巷で「今年ベスト!」と話題騒然の映画がある。それは『宮本から君へ』だ。新井英樹の同名漫画の映画化で、バブル崩壊前夜の文具会社を舞台に、営業スマイルすらできない不器用・宮本浩が煽り、裏切り、恋愛にパワハラと幾多の修羅場を必死に生き抜く物語。『ディストラクション・ベイビーズ』で注目された真利子哲也が、閉塞感包まれる日本に希望をもたらしたとのこと。

ブンブン、週末まで映画館に行けないので、AmazonPrimeVideoで配信されていたドラマ版を先に観ました。これがとても面白かったので、珍しくドラマレビューをします。

『宮本から君へ』あらすじ(1話のみ)


文具メーカー・マルキタの営業マンになった宮本浩(池松壮亮)は、未熟で営業スマイルひとつできず、自分が社会で生きていく意味を悩んでいた。そんな宮本は通勤途中、駅のホームで一目ぼれしたトヨサン自動車の受付嬢・甲田美沙子(華村あすか)に声をかけるタイミングをうかがっていた。甲田は、宮本の同期である田島薫(柄本時生)が「次元が違う」と言うほどの美人。意を決して、宮本は駅のホームで甲田に声をかける…。
テレビ東京サイトより引用

今日が終わる いや今が終わる そう思えた奴から明日が変わる

実は、最初数話はそこまで乗れませんでした。

物語はプラットフォームから始まる。池松壮亮演じる、宮本浩は誰かを待っているようだ。そしてその人は現れる。スラッとしていて美しいOL甲田美沙子(華村あすか)だ。彼はストーカーのように毎日のように彼女を追跡し、彼女の名前と勤務先を割り出すことに成功する。彼は卒業後文具メーカーに勤め始めるも、連日遅くまで仕事、仕事終わったら呑みと24時間戦えますかスタイルの生活により、カノジョにフラれたばかり。そんな彼は心の傷を癒すようにカノジョを求める。そんな彼の気持ち悪い追跡と、男社会の営業所のゲスで下品で暑苦しい生活が映し出される。生理的拒絶が包む。自分はバブル崩壊前後の、人情と根性でなんでも動かせる。自分の思い通りになるとギラギラしているあの時代に生きられない人なんだと思いつつ、毎回エンドロールで流れるMOROHAの慟哭に鼓舞され、一話一話精神ヒリヒリさせながら観ていった。

しかしこれが段々と面白くなってくる。というよりかは、不器用で営業なんかできっこない宮本浩が超絶ダサいのだが、まるで『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のディカプリオのように輝いていくのだ。それこそ、序盤は営業先で「カタログなんかいいから、売りを教えて!あるんでしょ?売り。納期が早いとかさぁ笑」と煽られたらすぐに黙りこくって、「売りなんかないんだよなぁ…」という声を押し殺そうとする。そしてトボトボ帰社し、上司に怒られる。

辞めようにも行き場がなく、24時間会社が居場所となってしまっているこの沼の中で、宮本は壊れていき、ブチギレる。営業先で邪険に扱われようものなら、「おい、人と話すときは顔見て話せよ」と罵声を浴びせ、職場では同僚と殴り合いの喧嘩をする。段々と煽りかたを覚えていき、飄々と光り輝いている神保和夫の背中を見て、法に反さない範囲なら、どんなモラルも犯してやるよ!と言わんばかりにがむしゃらに駆け抜けていく。

本当に酷い、なんなら後半、夜な夜な会社に押しかけ、必要な素材を発掘させたりする場面なんかドン引きだ。営業先の平社員もブチギレ、「上司は会議中だよ!お前なんだと思っているんだ。結局、最後は俺が探さなきゃならねぇんだよ!」といっているのだが、そんなの関係ねぇと大げさなパフォーマンス、ついでに会社机張り倒して土下座し、宮本の希望は押し通されてしまう。

ただ、こんなにも酷いのに…こんなにも酷いのに…元気を貰った!勇気を貰った!

映画版はまだ観ていないのだが、真利子哲也は閉塞感は閉塞感でも希望をある閉塞感を描くことで、汚職が蔓延し、消費税増税、貧富の格差が広がり、市民の訴えは独裁のごとく捻り潰され、1億総貧乏なっていく日本に勇気を与えることに成功したのではないだろうか?

バブル崩壊前後のサラリーマンは、「まだまだ俺らはいける。力でいける!情だ!戦略だ!根性だ!」と24時間戦えますかの坩堝の閉塞感の中でも、天を見て足掻いていた。今や、下しか見られなくなった。会社も保守に走り、イノベーションが生まれず、過去の栄光、産物にしがみついている斜陽の閉塞感にいる者にとって、宮本は神のようなヒーローに見えてしまうのです。

ブンブンだって、ブログではヘラヘラしているが、閉塞感ある今の日本、イノベーションが生まれない会社に陰鬱としている。だからこそ、この暴走機関車、そして彼を盛り上げるMOROHAの『革命』という名の慟哭に心揺さぶられました。

今日が終わる いや今が終わる そう思えた奴から明日が変わる

消費税10%の世界になり、東京五輪の終わりが日本のデッドエンドと言われている今を力強く行きねば!と思いました。

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