【MUBI】『FROST』ジャーナリストには己の揺るぎなき哲学がいる

フロスト(2017)
FROST

監督:シャルナス・バルタス
出演:ヴァネッサ・パラディ、ヴェロニカ・ロサティetc

評価:70点

MUBIにてシャルナス・バルタスの『FROST』が配信されていた。2018年カイエ・デュ・シネマ ベストテンで投票者のNicolas Azalbertが6位に選んでいたリトアニア映画だ。難しそうな内容でありましたが、挑戦してみた。

『FROST』あらすじ

リトアニア人のローカスは戦争を理解する為にウクライナへ行きたいと考える。そんな彼は、ウクライナに支援物資を送り届けることでウクライナに乗り込もうとする。その中でリポーターと知り合い、共に行動するのだが…

《知りたい》が動機だと迷惑だ

本作品は、「フィリピンのスラム街を見たい」という理由でクラウドファンディングした大学生

を思い出さずにはいられない作品でした。生の戦争を知りたいという目的だけで、リトアニアからウクライナへ旅する青年の話なのだが、非常に痛々しい。無論、日本の前のめりで意識高いだけの大学生とは違い、非常に真面目で国際平和を願っているような男なのだが、《戦争を知りたい》という動機が、当事者の気持ちを逆撫でする。彼らの瞳には、自分たちを見世物のように見る人にしか見えないのだ。だから、本当にいくのであればジャーナリストとしての精神を確立してから行かねばならない。

この青年は、実際に現地、それも最前線でインタビューをするわけだが、

「あんたは間違った時にここに来た」と兵士は語り生々しい現状について語り始める。青年の質問は結構間抜けだったりして、

「死体の匂いはどうでしたか?」なんてことを訊いてしまう。

一応、「まず間違えることはない。あんたも一度嗅ぐと良い。俺には表現できかねる。まあ、あんたがその状況に遭遇しないことを祈るがな」と答えていくのだが、
「あなたにとって最も大事なことを教えてください。義務とか、欲しいものとか?」と間抜けな質問をしていくうちに、「おい、平和に決まっているだろ。」と雲行きが怪しくなっていく。そして、薄っぺらい平和に対する持論を唱えようもんなら、「あんたは、自分が何を言っているのか理解していないだろ。お前の家族が誰かに傷つけられたらどうするんだ?銃を持つだろ?それが平和だ。」、「あんたは人助けの為に他国に来ているが、あんたは自分の人助けに疑問を抱いているんだろ?俺はあんたのロジックが理解できん。ちゃんと意志を持て!子供じゃないんだから」とキレられてしまう。

本作は、大学生や海外ボランティアを考えている人に是非とも観て欲しい。なんとなくや、軽い好奇心はもちろん、しっかりそこへ行く意義を持たずに訪問すると痛い目を見ることが十二分に分かる作品でした。

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