【日本未公開】『TRAUMA IS A TIME MACHINE』レイプのトラウマは癒えない

トラウマ・イズ・ア・タイムマシン(2019)
TRAUMA IS A TIME MACHINE

監督:Angelica Zollo
出演:Augie Duke, Gabe Fazio, Elizabeth A. Davis etc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日、面白いタイトルの作品を見つけました。

『TRAUMA IS A TIME MACHINE』

《トラウマはタイムマシンなのさ》という奇妙なタイトルに惹かれ観てみました。

『TRAUMA IS A TIME MACHINE』あらすじ


The film explores a woman’s self destruction & healing from the traumatic after effects of rape within her relationship.
訳:この映画は、彼女の関係の中でレイプの影響を受けた後のトラウマからの女性の自己破壊と癒しを探求します。
IMDbより引用

レイプのトラウマは癒えない

Angelica Zolloはニューヨーク大学ガラティン・スクール・オブ・インディビジュアライズド・スタディー出身の監督です。彼女は#MeToo運動で上がる女性の怒りの声に耳を傾け、今回初の長編映画『TRAUMA IS A TIME MACHINE』を発表しました。

本作は、レイプによって精神崩壊した女性をアーティスティックな白黒映像で描く。冒頭、女性が叫びながらベッドにしがみつく。そこには誰もいないのだが、彼女はレイプの再現を行い、《STOP(やめて)!》と叫ぶのです。映画の舞台はほとんど部屋から出ない。彼女が外を眺める眼差しは、苦痛から脱出したい目線を表現しているように見える。また、画面サイズは4:3の狭いものとなっており、閉塞感が観る者の心を縛ります。

そしてフラッシュバックと交差させながら彼女は自問自答する、それこそがタイムマシンだ。一度レイプを受けたら何度もトラウマが復活する。それは他者が簡単に介入することができず、その積み重なるトラウマの重みに耐えきれずに精神崩壊してしまうのだ。

長編デビュー作だけに、単調で安易なトラウマ描写が連続し間延びしてしまっている感じがあるものの、なかなか社会に声を上げることができない女性の苦しみを捉えたポートレートとして非常に見応えある作品でした。

日本公開は難しいとは思うが、配信スルーかなんかで日本でも観られるようになってほしいなと思いました。

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