『シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳』:『KNIFE + HEART』残像の先にあるもの

シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳(1980)
Simone Barbès ou la vertu

監督:マリー=クロード・トレユー
出演:イングリッド・ブルゴワン、マルティーヌ・シモネ、ミシェル・ドラエetc

評価:90点

ヤン・ゴンザレスの『KNIFE + HEART』が1979年のポルノ映画界を生きる女性監督を描いていたのだが、それはマリー=クロード・トレユーがポルノ映画をテーマにした『シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳』と重ね合わせる為だろう。ってことで、『シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳』を観てみました。

『シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳』あらすじ


ポルノ映画館で案内係として働くシモーヌ・バルベスの、ある夜の出来事。仕事を終えたシモーヌはレズビアンの集まるナイトクラブに向かった。彼女の恋人がそこで働いているのだ。なかなか彼女の元にやってこない恋人にしびれを切らしたシモーヌがナイトクラブを立ち去ろうとしたその時、従業員が撃たれるというハプニングが起きる。店を出て夜の街をひとりさまよい歩くシモーヌに、車に乗った男が声をかけ…。
※アンスティチュフランセより引用

Les bizarres viens, mais une bise n’est pas venue…(変人は来れど、キッスは来ず)

本作はポルノ映画に魅せかけて、ヌーヴェルヴァーグ的会話の魅力に満ち溢れた作品だ。またヌーヴェルヴァーグに、俗の極みを邂逅させることで、異次元の面白さを引き出すことに成功している。

本作は1時間の中で3部構成の会話劇が展開される。特に煌めくのは第1部。野郎どもの喘ぎ声が木霊する劇場。そこの受付は、ロビーに椅子と机を置いた簡素なもの。そこにアルバイトの女の子は、ジュースやパン、本に手遊びサイコロ並べて時が経つのを待つ。相方とダラダラ語る中、野郎が次々とやって来る。「早くチケット切れよ!」と言わんげに待つ客そっちのけで、会話に夢中になったり、「ねぇ、、、この映画興奮できるかなぁぐへへへ」と迫り来る変人達をなだめ、さっさとハコに流そうとする彼女たちの仕草を観ると映画館バイトしていたブンブンは懐かしさを覚えます。ああいう変な客いたなーと。

あれっ?蛭子能収のような客いなかった?

そんな楽しい楽しい第1部が終わると、次はレズビアンのショーパブに舞台が変わります。そこで働く友人を待つ主人公だが、中々彼女がやってこず痺れを切らすという内容。こちらは無軌道なライブシーン、『嗚呼!おんなたち 猥歌』さながらの熱いライブシーンにノックアウトします。そして第3部の、男と女の車内での駆け引きに味わい深い切なさを感じた。これは隠れた名作ですぞ!

ブロトピ:映画ブログ更新
ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です