第91回アカデミー賞直前予想
おはようございます、チェ・ブンブンです。
さあ、いよいよ日本時間で明後日アカデミー賞が発表されます。今年は、ここ10年の中でも最も受賞予想が難しい回です。全体的に2018年はThe アカデミー賞作品と呼べるアート性と社会派のマリアージュ映画で圧倒的強さを持つものが少なかったこと。低迷する視聴率を巻き戻そうとするロビー活動により混沌を極めているのが原因です。また最多ノミネートは『Roma/ローマ』と『女王陛下のお気に入り』の10ノミネートと通常だったらありえない作品がフロントラインを突っ走っているのも予想を困難にさせています。前者は、アルフォンソ・キュアロンの極私的映画で、物語がほとんどない。いやじっくりと凝視しないと見えてこないアート作品だ。また『女王陛下のお気に入り』は、ギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモスのキワモノコスチューム・プレイだ。どちらも、社会派要素はあるが、自分の完成を信じて突っ走っている全力アート映画で、アカデミー賞作品賞の冠に似合わないような作品となっています。だから、今回のブンブン予想は下手すると正答率50%を切るかもしれません。
ただ、今年は幸運なことにアカデミー賞授賞式前に 39/52本、つまり75%もの作品を観ることができました。残りの未見作品も、殆ど短編映画(短編アニメはコンプリートしました)なので、アメリカ人と同じ土俵で予想に挑むことができます。ということで早速いってみましょう!
※青くなっている部分をクリックすると、レビューに飛べます。
もくじ
作品賞BEST PICTURE
作品賞ノミネート一覧
・『アリー/スター誕生』
・『Roma/ローマ』
・『ブラック・クランズマン』
・『女王陛下のお気に入り』
・『ブラックパンサー』
・『グリーンブック』
・『バイス』
・『ボヘミアン・ラプソディ』
作品賞ブンブン予想:『ROMA/ローマ』
今回のアカデミー賞は『ROMA/ローマ』が作品賞を獲ることに意味があるといえます。というのも本作が受賞すれば、VOD会社の作品がアカデミー賞の頂点に立つことになるからだ。今や映画の鑑賞スタイルは多様化し、映画館で映画を観るから好きな時間にスマホやテレビで最新作を観ることができる時代になってきた。それにより、映画ファンは映画の経験価値を高めるために、どこでどのようにして観るのかを意識するようになる。そんな今を象徴する作品として『ROMA/ローマ』が受賞するのではないでしょうか?無論、Netflixアンチ勢がどのように動くかは不安要素だが、あの圧倒的映像を観ると本作に受賞してほしいと思わざる得ない。
ちなみに、本作が受賞すると、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、ギレルモ・デル・トロ、アルフォンソ・キュアロン、メキシコ3人組全員作品賞を受賞したことになります。
監督賞BEST DIRECTOR
監督賞ノミネート一覧
・パヴェウ・パヴリコフスキ『COLD WAR あの歌、2つの心』
・アルフォンソ・キュアロン『ROMA/ローマ』
・スパイク・リー『ブラック・クランズマン』
・ヨルゴス・ランティモス『女王陛下のお気に入り』
・アダム・マッケイ『バイス』
監督賞ブンブン予想:アルフォンソ・キュアロン『ROMA/ローマ』
まあ、これはキュアロンでしょう。エマニュエル・ルベツキから引き継いだ、耽美の極みな撮影。極私的映画なのに、観る者の心を掴んで離さないあの作風を観てしまったらねぇ…
主演男優賞BEST ACTOR
主演男優賞ノミネート一覧
・ブラッドリー・クーパー『アリー/スター誕生』
・クリスチャン・ベール『バイス』
・ラミ・マレック『ボヘミアン・ラプソディ』
・ヴィゴ・モーテンセン『グリーンブック』
・ウィレム・デフォー『永遠の門 ゴッホの見た未来』
主演男優賞ブンブン予想:ラミ・マレック
公開前批評家にボロクソだった『ボヘミアン・ラプソディ』がなんとアカデミー賞にまで登りつめるとは。その逆転劇に世間は胸熱となっている。そしてゴールデングローブ賞でフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックがゴールデングローブ賞を受賞したのも後押ししている。何と言っても彼はエジプト出身だ。人種点と視聴率稼ぎたいアカデミー賞サイドの思惑により受賞する可能性が非常に高いです。すっかり『アリー/スター誕生』が下火になってしまいました。
主演女優賞BEST ACTRESS
主演女優賞ノミネート一覧
・レディー・ガガ『アリー/スター誕生』
・オリヴィア・コールマン『女王陛下のお気に入り』
・グレン・クローズ『天才作家の妻 40年目の真実』
・メリッサ・マッカーシー『ある女流作家の罪と罰』
・ヤリッツァ・アパリシオ『ROMA/ローマ』
主演女優賞ブンブン予想:オリヴィア・コールマン
レディ・ガガが受賞するのでは?とも思ったのですが、前哨戦後半の流れからすると、『女王陛下のお気に入り』でコンプレックスの塊を演じたオリヴィア・コールマンが獲るだろう。確かに、コンプレックスが彼女を醜くさせているだけで、時折魅せる可愛さから奥行きを引き出すあの演技は素晴らしかった。まあガガさんは歌曲賞で讃えるという流れになるだろう。助演男優賞BEST SUPPORTING ACTOR
助演男優賞ノミネート一覧
・マハーシャラ・アリ『グリーンブック』
・リチャード・E・グラント『ある女流作家の罪と罰』
・サム・エリオット『アリー/スター誕生』
・アダム・ドライヴァー『ブラック・クランズマン』
・サム・ロックウェル『バイス』
助演男優賞ブンブン予想:マハーシャラ・アリ
いやー、『グリーンブック』のツンデレで高潔なマハーシャラ・アリ観てしまったら皆彼に投票したくなるでしょう。『バイス』未見なのでサム・ロックウェルがどうなっているかが分らないものの、他はちょっとインパクトに欠けるかな。助演女優賞BEST SUPPORTING ACTRESS
助演女優賞ノミネート一覧
・レジーナ・キング『ビール・ストリートの恋人たち』
・エイミー・アダムス『バイス』
・レイチェル・ワイズ『女王陛下のお気に入り』
・エマ・ストーン『女王陛下のお気に入り』
・マリナ・デ・トラヴィラ『ROMA/ローマ』
助演女優賞ブンブン予想:レジーナ・キング
これは『ビール・ストリートの恋人たち』のレジーナ・キングほぼ決まりでしょう。前哨戦から圧倒的強さを誇っていました。脚本賞BEST ORIGINAL SCREENPLAY
脚本賞ノミネート一覧
・『女王陛下のお気に入り』
・『Roma/ローマ』
・『魂のゆくえ』
・『グリーンブック』
・『バイス』
脚本賞ブンブン予想:『女王陛下のお気に入り』
正直、今回のアカデミー賞は今までの常識が通用しないと考えた方がいいです。通常作品賞を受賞する作品は、脚本賞や脚色賞を獲るのが定石となっていますが、『Roma/ローマ』は脚本面で超絶技巧を見いだすのは割と難しいと思っています。そうなると『女王陛下のお気に入り』と『グリーンブック』の直接対決となるのではと考えられます。
脚色賞BEST ADAPTED SCREENPLAY
脚色賞ノミネート一覧
・『バスターのバラード』
・『ブラック・クランズマン』
・『ビール・ストリートの恋人たち』
・『ある女流作家の罪と罰』
・『アリー/スター誕生』
脚色賞ブンブン予想:『ビール・ストリートの恋人たち』
これは『ブラック・クランズマン』VS『ビール・ストリートの恋人たち』の直接対決だろうなと思う。若干、ボールドウィンの押し殺した言葉選びを踏襲しただけなのでは?と言われそうな気がするが、ブンブンは断然『ビール・ストリートの恋人たち』派です。
コメントを残す