『魂のゆくえ(First Reformed)』ポール・シュレイダー式『田舎司祭の日記』

魂のゆくえ(2017)
First Reformed(2017)

監督:ポール・シュレイダー
出演:イーサン・ホーク、アマンダ・サイフリッドetc

評価:60点

『ザ・ヤクザ』、『タクシー・ドライバー』、『レイジング・ブル』等数々の名作を生み出した脚本界の巨匠:ポール・シュレイダー監督は、実は2010年代に入ってもバリバリ映画を制作していた。今回、今一番ギラギラしているA24を配給につけ、イーサン・ホーク主演の宗教映画を撮った。日本公開は未定4/12(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷他にて公開ですが、観てみました。

『ファースト・リフォームド』あらすじ

従軍牧師であるエルンスト・トーラーは、自分の想いを日記に書き記していた。息子の戦死をきっかけに気持ちの落ち込んでいたトーラー。トーラーの前に、相談者が現れた。メアリーだ。彼女から、夫に会ってほしいと言われた。そして…

ポール・シュレイダー式『田舎司祭の日記』

本作は明らかにロベール・ブレッソンの『田舎司祭の日記』ないし、ジョルジュ・ベルナノスの世界観を、ポール・シュレイダー式に脱構築した話である。『田舎司祭の日記』とは、田舎に司祭が赴任するのだが、村に馴染めずどんどん鬱になっていく様子を日記に書いていく話だ。本作では、孤独で人に自分の気持ちを伝えることのできない牧師が、静かに痛みを与えてくる病と陰鬱なお悩み相談、そして息子を失った苦痛から解放されたい想いが日記に吐露されるスタイルとなっている。イラク戦争以後のアメリカを静かに蔓延るパラノイアにフォーカスを当て、アメリカナイズされてはいるが、テーマは一緒だ。敬虔になればなるほど、神が信じられなくなり、心が蝕まれていく姿が描かれている。神に祈れど、粛々敬虔に生きようとしても、悲劇は起きてしまう。その悲劇に対して真面目であるが故に、正面から向き合ってしまいドンドン心が蝕まれる様子から逆説的に、「人々にとって神は軽い存在」であることを見出す。

正直、『田舎司祭の日記』や『悪魔の陽の下に』と比べるとエピソードは甘いし、苦痛というのが画面の外まで飛び出しているようには見えず、力量不足感があった。終盤待ち受けるオウム真理教のアニメのような超常現象という隠し刃も出オチ感が強く。まあ面白いんだけれどもそこまで高評価はできないなと感じた。

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