【酷評】『SUNNY 強い気持ち・強い愛』韓国版をその後観てみよう♬怒りに燃えるよw

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018)

監督:大根仁
出演:篠原涼子、広瀬すず、小池栄子、
ともさかりえ、渡辺直美、池田エライザetc

評価:20点

安室奈美恵の引退、平成の終焉。

人々は、懐古主義に陥っている。そう、人々は平成を振り返りたいのだ。そんなニーズ、ビッグウェーブを映画界が見逃すはずがなかった。しかし、平成サブカルチャーを映画にできる奴はいるのか?そこで、白羽の矢が立ったのが大根仁だった。彼は、『モテキ』『バクマン。

』『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール

』といった、映画マニアが当たり屋で観たくなるような題材、タイトルの作品を量産しつつ、いざ観ると彼の剣捌きに平伏す。サブカルという名の名刀使いだ。

そんな彼が、大傑作韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』をダシに平成サブカルチャー(1990年代ギャル文化中心)を描く懐古主義映画に挑戦した。

数ヶ月前に、映画仲間から、「試写で観たが、最悪、今年ワースト。怒りがこみ上げてきた。」と告げられていただけに不安だった果たして…

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』あらすじ

専業主婦の奈美は、祖母のお見舞いの為に病院に行く。すると、高校時代の親友・芹香と再会する。彼女は余命僅かだという話を聞き、かつての仲良しグループ《SUNNY》のメンバーを集めることにするのだが…

チョベリバだよ!大根さん!

結論から言おう、本作は韓国版を観ているか否かで評価が160度くらい変わります。意外にも面白い。ちょっと私の知っている90年代ではない気はしたが、DJ感覚で次々と挿入される懐メロ、輝ける青春ものとしての《みずみずしさ》と《痛々しさ》が、心の琴線に触れ、とてつもなく切なくなる。学生時代のダチに会いたくなる。本作の最大の目的、「お客さんに平成を懐かしんでもらう」というのは見事達成されている。

だが、いくら今やネタ不足で世界各国はヒットコンテンツの映画化権を売買し、現地に即したリメイクをするグローカルビジネスが流行っているからって(来月には『あの頃、君を追いかけた』が来ます、、、)、『サニー 永遠の仲間たち』をダシにしてほしくなかった。『サニー 永遠の仲間たち』では明るい話に見えて、1980年代の韓国情勢に対する皮肉もある。デモや政治批判を回避する為、韓国政府は映画や音楽といったサブカルチャーを避雷針として使っていたのだ。平和ボケしている日本、確かにギャルや不良が世を回す、ノストラダムスの予言に溺れる若者もいた平成は平成でも、混沌の1990年代後半をチョイスしたのは英断ではあるが、チラチラと韓国版の残像がチラついて、精神的にキツイ。面白いし、大根仁監督は上手く調理している。でも、私はこの映画を賞賛することはできなかった。
ただ、家に帰り元ネタである『サニー 永遠の仲間たち』を6年ぶりに観直して観たのだが、段々と大根監督を擁護できなくなってきた。というのも、カット割りがほとんど一緒なのだ。病院での出会いはもちろん、現在から過去へとフラッシュバックする場面、娘が父からお金をせびったり、奈美が娘の制服を着て踊っていたら娘が帰ってきて気まずい描写まで、ギャグですらほとんど原作踏襲で、多少被写体の向きを変える程度の工夫しかしていないのだ。元ネタを観ると、「大根監督、拘りはないんかい!いくら白羽の矢が立ったとはいえ、自分らしさを出そうとは思わんのかい!」と思ってしまう。原作忠実を意識するあまり、韓国版の暴力的な部分まで踏襲せざる得なくなり、それが我々観客が知る1990年代像との乖離を引き起こさせたようにも見えてしまった。折角、1990年代日本を舞台にするスマートなアイデアがあるのだから、ネタもしっかり考えて描いて欲しかった。

いくらグローカルビジネスだ、儲かる可能性が高いコンテンツでも、大根仁監督は『サニー 永遠の仲間たち』という要素を排除して、オリジナルで平成サブカルチャー映画を作って欲しかった。

強い気持ち 強い愛
心をギュッとつぶす

そんな作品でした。
マジで、チョベリバだ!

原作鑑賞者は、強い気持ちで是非!

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