【東京フィルメックス ネタバレ】『帰れない二人』謎の第3部についての考察

【東京フィルメックス ネタバレ】『帰れない二人(アッシュ・イズ・ピュアレスト・ホワイト)』謎の第3部についての考察

先日、東京フィルメックスでジャ・ジャンクー監督の新作『帰れない二人(アッシュ・イズ・ピュアレスト・ホワイト)』を観た。本作は、ヤクザの女の一途で長い恋を3つの章で描いた作品だ。しかし、実際に観てみると、明らかに2章で話は終わっているのに、3章をだらだらと描いていた惜しい作品だった。3章は正直必要ないと感じたし、3章があることで訳がわからない物語となっていた。ただ、何故あの3章があったのかを考えてみたら少ししっくりきたのでネタバレ考察記事を書いていきます。

ネタバレなし記事:【東京フィルメックス】『アッシュ・イズ・ピュアレスト・ホワイト』北野武たるユーモアを継承 しかし、3部が蛇足

『アッシュ・イズ・ピュアレスト・ホワイト』の物語について整理

まずはどういったお話だったかを整理していく。

1章:ヤクザ時代

ヤクザの女はビンに想いを寄せている。いつも彼についていく。ビンは、「銃を持つと命が短くなる」と自身の死期が近いのではと悟りつつ、いつも通り仲間との日々を歩む。そんな中、チンピラ集団に襲撃される。ビンの仲間はフルボッコにされ、見かねたビンも肉弾で挑む。しかしながら、返り討ちにあう。このままでは死んでしまうと思った彼女は、ビンの銃を取り出し、チンピラを威嚇する。その結果、警察に彼女は捕まり5年の懲役を言い渡される。

2章:シャバの空気時代

5年後、かつてのイケイケさを失った彼女は出所する。そしてビンに会いに、旧友を巡る。しかしながら、ヤクザは解体され、皆四散バラバラになる。あれだけ久遠の友情を分かち合ったのに、腫れ物に触るかのように彼女とビンを扱う。長い旅の末に、ビンと会うのだが、彼には別の彼女がいて、故郷にも戻りそうにない。彼女は、故郷に戻る。その道中でオカルト信者と出会い、UFOの存在について聞かれる。彼女は故郷でUFOらしき存在と出会い2章は終わる。

3章:未来

未来。再び故郷でヤクザの娘となった彼女は、病院で下半身不随となったビンを救い出し、彼を故郷に連れていく。しかし、ヤクザ仲間からは疎まれ、ビン自身も暴れる毎日。彼を介護する中で愛を紡ごうとするのだが、ビンは逃げ出す。監視カメラに悲しく立つ彼女の姿が映し出され映画は終わる。

ある意味SF『未知との遭遇』のその先であり、『2001年宇宙の旅』だ

破綻し、再び結ばれることのない愛を確認した第2章に対し、再びビンとの恋を育もうとする第3章があまりに蛇足で、しかも結局結ばれない堂々巡りさがより一層無駄だと思わせ、ブンブンに悔しさを与えた本作。ただ、この映画をSFだと割り切れば、意外と納得できたりする。この作品をSFだと解釈すれば、2章までが『未知との遭遇』であり、3章が『2001年宇宙の旅』のラストである。

2章までは、導かれるままに突き進み、最後の最後に宇宙人と邂逅する話となっている。孤独の淵に立たされた彼女に救いの手を差し伸べたのは、UFOであり宇宙人だと分かる。そして3章は、宇宙人に連れてかれ、帰郷したヒロインの姿なのではと考えることができる。宇宙人に連れてかれたであろう彼女の3章は目が死んでいる。まるで「ビンを連れ出す」ことをプログラムされたロボットのように、淡々とビンを故郷に連れていき介抱するのだ。彼からの寵愛を求めようとするのだが、彼の愛は得ることができない。そして最終的にビンは逃げ出してしまう。しかしながら、彼女は悲しく立ったままだ。それを監視カメラの映像が捉えたところで本作は終わってしまう。この無機質さが肝となってくる。

結局のところ、パラレルワールドなのか単純な未来の姿なのか、宇宙人に魅せられた幻影なのかはわからない。しかしながら、彼女が持つ愛は変わらない。ということをここで突きつけたのではないだろうか。『2001年宇宙の旅』のラスト、 ブリューゲルの『雪中の狩人』から帰郷という主題を強固なものにしたように、2章で宇宙人と出会い、3章ではるか遠くに離れていたビンを故郷に連れていくことで、帰郷というテーマを強固にし、その中で愛を描いたといえよう。

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