地球の急ぎ方 キューバ編~オールド・ハバナ、そこには『ソイレント・グリーン』の世界があった

オールド・ハバナ、そこには『ソイレント・グリーン』の世界があった

ふと、ブンブンの前に強烈な空間の入口が目に飛び込んだ。それは建築中なのか、廃墟なのかわからないような崩れ方をしている建物だ。その横には、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

』で登場したオールド・ハバナの入口があった。

↑カピトリオ

オールド・ハバナというと、世界遺産のイメージがある。実際に登録基準ⅳ(人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例)、ⅴ(ある文化または複数の文化を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例)で登録されており、4つの要塞(フエルサ要塞、モロ要塞、プンタ要塞、カバーニャ要塞)、ハバナ大聖堂にカピトリオが有名なのだが、その近くに驚愕の市井が広がっていたのだ。

実際に中に入ってみる。まるでペドロ・コスタの映画のように、廃墟のような空間に人々がひしめき合って暮らしている。扉は開けっ放しで、人が出入りしている。そして、道には生ゴミや犬のフン、そして犬が横たわっている(油断すると踏みそうになる)。砂塵が舞い、目がチクチクする。そして道を曲がると、大きな穴があったり、大きなショベルカーが突っ込んできたりする。なんなんだ!俺はキューバに来たはずなのに、アレッポのような戦場にワープしてしまったのか!と不安になる。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』で映し出されていたオールド・ハバナより荒れていないか?
この混沌、映画に例えると『ソイレント・グリーン』だ。実際にキューバは配給制なので、街の至る所に配給所があり、人々は粛々と今日食べるものを購入している。『ソイレント・グリーン』とは違い、人々は優しいし、特に危険なことは起きないのだが、おもむろに、スーシュインとマチェーテの音がなると背筋がゾッとする。振り返ると、少年がマチェーテを研いでいるだけだったりする。横には、恐らく違法映画館だろうものが見える、市民は好きなDVDを選んで奥のスクリーンルームへ消えていく。日本では、、見ることのできない光景の連続にショックを受けた。そう、雑誌とかテレビとかそういったメディアで映し出されているオールド・ハバナは綺麗なところしか映し出されていない。例え、荒れているところが写っていても、加工で美化されていたのだ。

そんな空間を彷徨っていると、人々の行列ができているのを見た。丁度店がオープンし、人々は目を輝かせながら入っていく。ブンブンも入って見たのだが、そこには『どうぶつの森』を思わせる空間が広がっていた。キューバは先述の通り、社会主義国、配給制の国なので、そもそも物がない。だから、『どうぶつの森』のように数少ない商品が一定間隔で置かれているのだ。また、別の店に入ると、RPGゲームの武器屋のような形になっている。カウンターで欲しいものをいうと、出してもらえ、金を支払う。本当は、会社用の土産を買いたかったのだが、土産になりそうなものは一切ありませんでした…

そして、ブンブンは段々と心が痛くなってきた。これは観光客がバシャバシャ写真を撮る場所じゃない。見世物になってしまう。こんな強烈な空間でも淡々粛々と明るく生きる人々の逞しさに涙が出てきた。これは簡単にアメリカナイズはされないだろう。だがここの生活環境は早めに改善した方が良いのではと思う程凄惨で泣けてきました。だから、オールド・ハバナ深部の写真は写ルンですで2枚しか撮りませんでした。この凄まじさは行った人にしか分からない物がある。

人力車に乗ってみた

新市街から中心街に行くためには、オールドハバナの深部を通らないといけない。結構体力がもっていかれる上に、ちょっと色んな意味で危ないところもある。なので、移動はタクシーを使った方が良いです。街中にはクラシックカーのタクシー、黄色い普通のタクシー、人力車があります。クラシックカーは20CUC(約2,000円)程なのに対し、人力車は5CUC(500円)で乗れます。この手のタクシーはボラれる可能性もあるので、乗る前にしっかり価格交渉をしましょう。ってことでホテルまで、試しに人力車に乗ってみました。この人力車のおじさんがめちゃくちゃ面白い。

「お前さん、どっからきたんだい?おぅ日本か!そりゃ初めてのお客さんだ。」
「日本はどうだい?暑いのかい?」
「キューバ2日間って短いじゃねぇか。んっ日本のサラリーマン、働きすぎだぜ、
そりゃ残念だ。でも、ハバナまではるばる来てくれてありがとな!」

っと陽気に、ノンストップで話しまくる。

せっかくなので、『苺とチョコレート

』のロケ地であるアイスクリーム屋《コペリア(Parque Coppelia)》に行きたいとお願いしてみた。すると…

「お前さん、確かに分かるよ。お前さんは映画が好き。ロケ地である《コペリア(Heladería Coppelia)》に行きたいのは当然だと思う。だがな、あそこはマズイ。しかも平気で入るのに2時間ぐらい待つ。観光客向けの店になっちまったから、高い。だから俺が良い店連れてってやる。もし、本当にコペリア行くのなら、この道4ブロック先進んだところにあるよ。もし、それでも行きたいのなら俺は止めねぇ」

ってことで、人力車の兄ちゃんオススメのアイスクリーム屋《Bim Bom》に連れてってもらいました。

ここは1.80CUC(約180円)で3段重ねのアイスが食べられるバスキン・ロビンスもびっくりの店だ。ブンブンは、レモン、クランベリー、マンゴーのアイスをチョイスしました。汗がへばりつくような暑さ、食欲不振になりそうな天気にぴったりな代物。レモンのすっきりとした味わいに、マンゴーのこってりした甘さ。クランベリーのお茶目な甘さが、疲れを癒してくれます。観光ガイドには乗っていないアイス屋これは人力車のお兄さんに感謝だ!グラシアスだ!

ちなみに、コペリアにも立ち寄ろうとしたのだが、お兄さんのいう通り長蛇の列ができていました。これは行かなくて正解でした。

さて、今回はこれぐらいで終わりにします。チェ・ゲバラツアーの話は、また今度語るとしよう。

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