ミッション:インポッシブル フォールアウト(2018)
Mission: Impossible Fallout(2018)
監督:クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ、ヘンリー・カヴィル、
ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、
レベッカ・ファーガソンetc
もくじ
評価:60点
夏だ!祭りだ!ミッション:インポッシブルだ!
夏休みは、ドウェイン・ジョンソンやトム・クルーズ、マイケル・ベイの大味大作を観たくなるもの。今年は、トム・クルーズだ!大人気アクションシリーズ第6弾が公開される。ジャッキー・チェンにライバル心を抱くトム・クルーズは、なんとヘリコプターの操縦ライセンスを取得し、映画の為に100回以上スカイダイビングスタントを行い、骨折してでも映画を完成させた。もはや狂気の沙汰だ。町山智浩の解説によると、本作はアクション先行で、物語は後付け継ぎ接ぎで作られているという。上映時間はトムさんの曲芸を楽しんでもらうべく、147分の長尺となっている。ブンブン、初日に有給を取って、トムさんを謁見しました。果たして…
※前作レビュー:“Ç”ミッション:インポww「MISSION IMPOSSIBLE:ROGUE NATION」
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』あらすじ
世界は核を使ったテロの忍び寄る手に、気づいていなかった。その静かなる魔の手と戦うべく、今回もイーサン・ハントは立ち上がった。しかし、今回のイーサン・ハントは、キレがない。迷いにより、盗まれたプルトニウム奪還任務を失敗させてしまう。このままだと、世界はアブナイ!彼はパリ、ロンドン、カシミール3ラウンドで悪を成敗するのであった…カメラが追いつかない!トムさんスタントにブンブン悲鳴
本作は、トムさんのアクションが推しな作品だ。これは公開前から、多くの映画ファン注目のポイントだった。ブンブンもその一人。ただ、本シリーズは毎回、トムさん決死のスタントがメインとなっている。滝(?)にダイブしたり、ビルを綱一つでよじ登ったり、毎回ハラハラする。ただ、今回は次元が違った。思わず悲鳴をあげてしまうほど怖いのだ!
例えば、開幕早々、パーティー会場に上空7000m以上からエクストリーム出社を決めるのだが、「トムさんが死んじゃう!」と思わずにはいられない。軍用機から、トムさんとヘンリー・カヴィル扮するライバル:オーガスト・ウォーカーが飛び降りる。しかし、途中でオーガストが落雷に遭い瀕死に…。トムさんは、空中で瀕死状態のオーガストの元に寄り、応急処置。そして、パーティー会場の屋上激突直前になってパラシュートを開く。スカイダイビングするシーンは『ワイルド・スピード』シリーズや『007』シリーズで観たことはあるのだが、妙に本作のコレは怖いのだ。
その恐怖はどこから来るのだろうか?それは恐らく、カメラがトムさんのアクションに追いついてないからであろう。本作全般的に言えるのだが、トムさんのアクションが凄すぎて、カメラの焦点がブレッブレなのだ。特にこのスカイダイビングシーンは、明らかにカメラマンが撮影中に、「おい、コレまじで死ぬぞ!どうすりゃいいんだ!」とテンパっているようにしか見えません。
そして、映画が進むほどアクションがエスカレート。パリ凱旋門の、悪魔のジャンクション(初心者ドライバーは一度立ち入ったら出られない)をバイク一つで逆走したり、ヘリコプターによじ登るシーンでは、足を踏み外して転落する。ヘリコプターの免許取ったからと、即死必死の不時着までしているのだ。現に、ロンドンのビルをパルクールで駆け抜けるシーンでは、足を骨折する大怪我を負っているのに、《カメラを止めるな!》と言わんばかり、苦痛の顔を見せるトムさんがバッチリ大画面に映し出されている。
もう、アクションシーンになるたびに、「トムさん、やめて〜」と悲鳴状態でした。もうアクションに関しては、文句なしだ。
繋ぎの物語がもどかしい
ただ、本作はアクションありきで後付けで物語が考えられた。もちろん、脚本皆無の傑作には『カサブランカ』なんかがあるが、本作の物語はかなり不満であった。というのも、やはりクリストファー・マッカリー限界だったのだろう。明らかな辻褄合わせ、繋ぎの物語としてしか機能していない。矛盾を事務的に処理してしまったが故に、上映時間が長くなり、冗長となっている。一応、物語には軸はある。凄腕エージェントとして活躍しているイーサン・ハント。しかし、長年仕事をしているうちにしがらみが増えてきて、任務遂行に迷いが生じて来る。そして、その迷いからミスをやらかす。目の前には、圧倒的に強いライバルもいて劣等感に見舞われながらも、世界の危機に立ち向かう。その苦悩に焦点を置いている。まさしく、『007/スカイフォール』と同じシチュエーションだ。
ただ、『007/スカイフォール』とは違い、一にアクション、二にアクション、三四五にアクションなので、全く物語としての起伏がない。イーサン・ハントの今回の設定だけ、思い出したかのように定期的に描写するのだが、いつまでたっても、「ミッションを開始する」「失敗して、てんやわんや」を繰り返してばかり。アクションシーン以外は、周りが、イーサン・ハントに「この作戦はヤバイ、やめようよ」と説得する場面だけなので、段々と飽きて来るのが正直な感想だ。そして、そのドラマパートになるとトムさんの超絶アクションがしばらく観れなくなるので、「早く次のアクションに映らないかなー」と思ってしまう。カシミールでのラストバトルまで、こういったもどかしいシーンの連続で、心がざわつきまくりでした。
どんでん返しがクドイ
また、今回「俺が黒幕だ」と言った直後に「やっぱりアイツでした」という手のひら返しのどんでん返しがやたらと多い。もはや誰が黒幕か分からないほどに、次々と手のひらを返していくのだが、流石にやり過ぎだ。この手のテクニックは、ここぞという時に使うから効果抜群なのであって、頻繁に、それも無意味に使われると、映画がどうでもよくなってくる。今回は、上記の理由もあり『ミッション:インポッシブル』シリーズ最低の脚本だと言えよう。
でも『フォールアウト』はサイコーだ!
でもブンブン、フォールアウトはフォールアウトで好きだ!前半2時間は結構キツイが、カシミールでのラストバトル。3箇所でそれぞれのメンバーが戦うチームプレイとしての面白さ、そして何といっても、トムさんの目を覆うほどの危険なヘリコプタースタント&崖登りにテンションマックス!ブンブンの脳天に花火があがりました。トムさん、興奮ありがとう!と観終わった後、拍手したくなる作品でありました。
おまけ:15分で世界を救うって凄いことなんです!
本作では、カシミールの人道支援キャンプに仕掛けられたプルトニウム爆弾を解除する為に、3チームに別れてラスボスと戦う。トム・クルーズは、ヘリコプターをジャックして、敵を追い詰める。制限時間は15分だ。果たして15分で、何ができるのだろうか?丁度、本作鑑賞後のブンブン、15分後に人と約束があったので、なりきりトム・クルーズ!走って会場に向かいました。TOHOシネマズ上野から上野駅の指定場所までダッシュして丁度15分でした。たかだか15分で一駅分しか行動できない。その間に、トムさん一向は世界を救ってしまう。トムさん本人は、たった15分でヘリコプターを奪い、崖の上で敵と肉弾戦を行い、爆弾解除ピン抜いた。こりゃ、惚れない訳がない。やっぱりカッコいいなー♡
意外と知られていないが、『ミッション:インポッシブル』1作目は、お堅いフランスの映画雑誌カイエ・デュ・シネマ ベストテンにランクインしている。
ゴダールやデプレシャンと肩を並べています。
ただし、これは当時デパルマ贔屓故の入選である。#ミッションインポッシブルフォールアウト
— che bunbun (@routemopsy) 2018年8月2日
↑余談だが、このシリーズの1作目は、カイエ・デュ・シネマベストテンにランクインしました。
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