評価

2021映画

【Netflix】『AIに潜む偏見: 人工知能における公平とは』複製された偏見

MITメディア・ラボで学ぶジョイ・ブオラムウィーニはSFから着想を得て作品制作を行う課題に顔認証技術を採用する。しかし、黒人である彼女の顔は中々認識してくれない。調査をする中で、女性よりも男性、有色人種よりも白人の方がAIは認識しやすい事実に辿り着く。肌の色が違うぐらいなら物理法則に当てはめれば容易に認識してくれそうなものなのにどうしたことか?ここから彼女の探求の旅は始まる。その中で様々な研究者がAIに潜む偏見の存在に気づきはじめていることを知る。AIは膨大な情報を解析するだけだ。その情報が誤っていれば、誤った結果が出力される。これは意図しないところで起きたりするのだ。

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『犬は歌わない』生類憐れみの令は反射する

ライカは生存の保証がないまま宇宙に飛ばされ、地球史上初めて地球を周回した動物になった。映画は、そのライカの魂が今のロシアの犬たちに引き継がれているかのようにロシアの野良犬の生活が映し出される。本作はソ連の宇宙開発に関するドキュメンタリーとしてみると肩透かしを食らうことでしょう。

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【Netflix】『スピードキューバーズ: 世界を見据えて』神童たちの友情、努力、勝利の方程式

そんなルービックキューブ界に神童がいた。フェリックス・ゼムデグスだ。彼は幼少期にルービックキューブに取り憑かれ、次々と世界大会の栄冠を勝ち取り、世界記録を幾つも持っている人物だ。しかし、2017年に彼を脅かす存在が現れた。マックス・パークだ。youtubeに片手でルービックキューブを揃える男の動画が出現した。フェリックスは挑戦してみたが、この謎の男のスピードには勝てなかった。やがて彼は表舞台に現れる。マックス・パークは淡々と大会を勝ち進んでいき、フェリックスの世界記録を次々と破り始めるのだ。そんな彼にもドラマがある。彼は自閉症を患っていた。彼に幸せになってほしいと願う家族は様々な方法を試す中でルービックキューブに手応えを感じる。自閉症の人が難しいとされる行動、人を指差しする、人の行動に合わせるといったことが大会を通じて身についていく。そこに家族は嬉しさを感じる一方で、いずれ訪れるであろう挫折や敗北をいかに処理していくのかを不安視していた。

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【アカデミー賞】『76 DAYS』あの時、武漢で……

現場は混乱していた。未知のウイルスによりロックダウンした武漢で、医者たちは限られた人員、限られた物資、慣れない防護服で次から次へと現れる人たちの面倒をみないといけなかった。父に会いたい者もいる。しかし、立ち入りは厳重に管理されており、人情を捨てて冷徹に連れ出さないといけない。その極限状態に市民はフラストレーションを抱えていた。

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【アカデミー賞】『ザ・ホワイトタイガー』Netflixに踊らないインド映画登場

主人公バルラム(アダーシュ・ゴーラブ)はインド片田舎の低カースト市民だ。この村の人は自分のカーストに満足している。檻に入れられた鶏はその状況に満足し、自由を勝ち取ろうとしていない。だがバルラムは違う。バイト一つとっても栄転のチャンスを伺っており、情報収集していたのだ。これは、先進国と移民労働者との関係性を鋭く象徴しているようにもみえる。ヘコヘコしているようで、出世する為、心の中では野望をギラつかせている。能ある鷹は爪を隠す様子を、ナレーションの黒いユーモアと、実際の行動を対比させることで効果的に描いているのだ。

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【アカデミー賞】『ソウルフル・ワールド』幸せであることを強要されるディストピア

学校で音楽を教えるジョー・ガードナー。生徒は協調性ゼロで耳苦しい不協和音が響き渡る。彼はトロンボーン使いのコニーを指差す。くすんだ金属の色合いのリアルさに身を乗り出す。そしてジョー・ガードナーはジャズクラブに行くのだが、これが凄まじい。仄暗い空間の中で、彼の憧れのミュージシャン・ドロシアのサクソフォーンがキラリと光る。陰影礼讃の極みに圧倒される。街に出れば、消防車が現実と寸分違わないリアルさで突っ込んでくる。リュミエール兄弟の『ラ・シオタ駅への列車の到着』を公開当時初めて目の当たりにした観客さながらの衝撃は魂の世界の前衛的ヴィジュアルとの融合により観る者を飲み込む。

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【アカデミー賞】『サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-』振動が虚空を奏でる

『サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-』では「聞こえない」の観点から、生活の不自由を観客もろとも巻き込んで描いていく。ライブツアー中の男ルーベン(リズ・アーメッド)は仲間と会話をしていると突然音が聞こえなくなる。水中にいる時のようなこもった音が木霊する。そしてそれは段々と強くなる。振動だけが空間を伝わる。しかし、会話の内容、音の内容、つまり「意味」が付随してこないのだ。聞こえるということは、空気の振動を脳が受け取り、脳がその振動を意味として翻訳することだったのだ。それを、繊細な音の差異で描いていく。

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【アカデミー賞】『アイダよ、何処へ?』我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか

スルプスカ共和国軍がスレブレニツァに侵攻する。市長(Raymond Thiry)は助けを求めて国連が運営する仮設キャンプにやってきて、Karremans大佐(ヨハン・ヘルデンベルグ)と話をするのだが、大佐はどうも頼りない。人々の危機に対して、大した力になってくれない状況に市長は苛立ちを隠せない。そうこうしているうちに、スレブレニツァは戦場となり数千人の人々が国連キャンプを目指してやってくる。だが、キャンプ場のキャパは足りない。国連軍は、機械的に門を閉鎖して、見渡す限り人、人、人の群がキャンプ周辺を覆い尽くしてしまう。

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【クロアチア映画】『H-8…』クロアチアのうわっ、前から車が!!

マーティン・スコセッシ映画のような、あるいはポール・トーマス・アンダーソン『マグノリア』のような饒舌な語りにまず圧倒される。今やアーロン・ソーキンの爆速脚本術によって、普通にやったら3、4時間かかる内容を2時間に圧縮する技法が確立され、大衆映画でもよく使われる。日本でもアニメでよく爆速饒舌な台詞回しで観客の心を揺さぶる手法が使われる。

クロアチアでは今から半世紀以上も前に既に究極系が出来上がっていた。まず、事件のあらすじが語られる。子連れのトラック運転手とバスの動きが具体的な時間、状況を緻密に積み上げる。ニュース映像に思える具体的な台詞回しはやがてスポーツ実況のような熱気を持ち、早回しで提示される雨天に疾走する二つの車をカットを交差させ激突させる。